相手からの依頼に、つい癖で
「了解しました」
と返してしまったあと、ふと不安になる——。
「今の言い方、失礼じゃなかったかな?」
そんな経験はありませんか?
ビジネスの場では、「わかりました」を意味する言葉がいくつもあります。
けれど、どの言葉を選ぶかによって、相手に伝わる敬意の度合いや距離感は大きく変わります。
悪気はないのに、
言葉一つで評価を下げてしまうとしたら——
それは、とてももったいないことです。
この記事では、ビジネスシーンで特に迷いやすい
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「了解」
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「承知」
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「かしこまりました」
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「了承」
この4つを整理しながら、
相手に失礼なく、信頼を積み上げる返事の正解を解説します。

まず整理したい「返事の言葉」の意味と立ち位置
同じ「わかりました」でも、
それぞれの言葉には、はっきりとした役割の違いがあります。
「了解しました」
意味・ニュアンス
内容を理解し、認めること。
注意点
「了解」は本来、目上の人が目下に使う言葉とされています。
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上司
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取引先
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顧客
こうした相手に使うと、
たとえ「了解いたしました」と丁寧にしても、
軽く見ている印象を与える可能性があります。
👉 ビジネスでは、目上の相手には避けるのが無難です。
「承知しました/承知いたしました」
意味・ニュアンス
事情を理解し、聞き入れること。
メリット
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丁寧で失礼にならない
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上司・顧客・社外すべてに対応可能
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メール・口頭どちらでも使いやすい
👉 ビジネス返事の“標準装備”とも言える表現です。
「かしこまりました」
意味・ニュアンス
言いつけを謹んで承ること。
メリット
4つの中で、最も敬意が高い表現です。
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顧客対応
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フォーマルな場
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誠意を強く示したいとき
👉 丁寧すぎて困る場面は、ほとんどありません。
「了承しました」【要注意】
意味・ニュアンス
事情を納得し、許可を与えること。
注意点
「了承」には、
「それで良いですよ」と上から判断するニュアンスがあります。
そのため、
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上司
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取引先
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顧客
に対して使うと、非常に失礼になります。
👉 ビジネスでは、基本的に使わない言葉と覚えておきましょう。
【実践】相手・場面別「正しい返事」の使い分け
返事の正解は、「誰に向けて言うか」で決まります。
| 相手・状況 | おすすめの言葉 | 理由 |
|---|---|---|
| クライアント・顧客 | かしこまりました | 最大限の敬意を示せる |
| 上司・役員 | 承知いたしました | 丁寧さと実務感の両立 |
| 同僚・後輩 | 了解です/わかりました | 距離感を縮められる |
| メール全般 | 承知いたしました | 記録に残っても安心 |
迷ったときは、
「承知いたしました」を選んでおけば、まず間違いありません。
印象を一段上げる「+α」の添え言葉
返事は、「わかりました」だけで終わらせないのがコツです。
一言添えるだけで、印象は大きく変わります。
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スピード感を伝える
「承知いたしました。さっそく取り掛かります」 -
丁寧な姿勢を示す
「かしこまりました。確認のうえ、改めてご連絡いたします」 -
感謝を添える
「承知いたしました。ご共有ありがとうございます」
👉
返事は「理解」+「姿勢」をセットで伝えると、信頼につながります。
【あわせて読みたい:納得を引き出す構成】 返事の仕方を覚えたら、次は自分の意見を伝える際の「順序」にも注目してみましょう。結論を先に言うべきか、背景から丁寧に話すべきか。相手の納得を最速で引き出す方法については、こちらの記事【納得の引き出し方】「結論から(PREP法)」vs「背景から(ストーリー)」最速で相手を動かすのはどっち?で詳しく解説しています。
まとめ:あなたの返事は、あなた自身を映す
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基本は 「承知いたしました」
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最大の敬意を示すなら 「かしこまりました」
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「了解」「了承」は使う相手に注意
返事の言葉は、ただの相槌ではありません。
それは、あなたの仕事への姿勢と相手への敬意を映す鏡です。
言葉一つで、
「この人は信頼できる」
そう思ってもらえる場面は、確実に存在します。
今日からぜひ、
返事の一言を、ほんの少しだけ意識してみてください。

