「結論から言ってください」
ビジネスの場で、一度は言われたことがある言葉ではないでしょうか。
報告書、会議、メール——どんな場面でも、「まず結論」が正解だと教わってきました。
ところが一方で、こんな経験もありませんか?
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結論から話しているのに、なぜか納得してもらえない
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丁寧に背景を説明していたら、「で、何が言いたいの?」と遮られてしまった
実は、ここに多くの人がつまずく伝え方の落とし穴があります。
ビジネスの伝え方には、
「結論から話すべき場面」と、「あえて背景から語るべき場面」が存在します。
問題は、それを使い分けられていないことです。
この記事では、
論理と効率の王道である 「結論から(PREP法)」 と、
人の心を動かす 「背景から(ストーリー)」 を比較しながら、
相手を最短で「納得」に導く伝え方の正解を解説します。

「結論から(PREP法)」のメリットとデメリット
― 効率と論理の伝え方
PREP法とは、
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P(Point):結論
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R(Reason):理由
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E(Example):具体例
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P(Point):結論の再提示
という、ビジネスで最も推奨される話し方の型です。
メリット:時短とストレスの軽減
結論から話す最大のメリットは、相手の時間を奪わないことです。
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最初にゴールが見える
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何について判断すればいいかがすぐ分かる
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忙しい相手でも話を最後まで聞いてもらいやすい
特に、
日常の報告・連絡・進捗共有では、PREP法は最強です。
デメリット:冷たい印象と反発
一方で、PREP法にも弱点があります。
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悪いニュースをいきなり突きつけてしまう
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相手の感情を置き去りにしやすい
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「正論だが、納得できない」という反応を招く
結論は伝わっているのに、
心が動かない——
そんな場面では、PREP法だけでは不十分です。
「背景から(ストーリー)」のメリットとデメリット
― 共感と記憶に残る伝え方
背景から話すストーリー型は、
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状況
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経緯
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課題
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結論
という流れで、相手を自然に結論へ導く話し方です。
メリット:納得感と当事者意識
ストーリーの強みは、共感を生むことです。
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なぜその結論に至ったのかが分かる
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相手が「自分ごと」として考えやすい
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データ以上に記憶に残る
新しい提案や、
人の協力を得たい場面では、ストーリーが力を発揮します。
デメリット:冗長さとイライラ
ただし、使いどころを間違えると逆効果です。
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結論が見えず、相手が不安になる
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忙しい相手をイライラさせてしまう
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「話が長い人」という印象が残る
背景から話す場合は、
相手が“聞く準備ができているか”を見極める必要があります。
【実践】最速で「Yes」を引き出す使い分け術
結論はシンプルです。
相手の状況と期待に合わせて、型を切り替えること。
状況別・おすすめの伝え方
| シーン | おすすめの型 | ポイント |
|---|---|---|
| 日常の報告・連絡 | 結論から(PREP) | 「1分で終わる」話は迷わず結論から |
| 悪いニュースの報告 | 背景 → 結論 | まず事実と経緯を短く共有 |
| 新しい提案・企画 | 背景+結論 | 課題を共有してから解決策を提示 |
| 相談(助言が欲しい) | 結論+背景 | 「何を相談したいか」を最初に伝える |
実は最強なのは「ハイブリッド型」
多くの場面で効果的なのは、
結論を先に示し、必要な分だけ背景を補足する
というハイブリッド型です。
例:
「〇〇を提案したいです。
理由は、現在△△という課題があり、□□の影響が出ているからです。」
これなら、
スピードと納得感を同時に満たせます。
【あわせて読みたい:信頼を損なわない返事】 伝え方の構成と同じくらい大切なのが、相手の言葉に対する「返事」です。「承知しました」と「了解しました」の使い分け一つで、話を聞いてもらえる土壌が変わります。信頼を積み上げる言葉選びについては、こちらの記事で詳しく解説しています。【返事の正解】「了解」vs「承知」vs「かしこまりました」:信頼を勝ち取る言葉選びの境界線
まとめ:伝え方の正解は一つではない
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速さと正確さが求められるなら
→ 結論から(PREP法) -
心を動かし、協力を得たいなら
→ 背景から(ストーリー)
最高の伝え方とは、
相手の脳(論理)に結論を届け、
相手の心(感情)に背景を届けることです。
その使い分けができたとき、
あなたの言葉は「説明」から「武器」に変わります。

