「伺います」と「参ります」はどちらも丁寧な言い方だけど、「意味は同じ?」「どっちを使えばいいの?」と迷ったことがある人も多いのではないでしょうか。
敬語って、間違っているわけではないけど「なんだかちょっと違和感ある…」と言われることもある、ちょっと繊細な言葉づかいです。
とくに「伺います」と「参ります」は、どちらも「行く」の謙譲語として知られていますが、使うシーンや目的によって選び方に違いがあります。
この記事では、それぞれの言葉の意味や使い方の違い、ビジネスシーンでの使い分けのポイント、そしてよくある間違いについて、わかりやすく解説していきます。
丁寧に話しているつもりなのに「ちょっと違う」と思われないためにも、敬語の使い方をしっかり身につけておきましょう!
「伺います」とは?
主に次の4つの意味で使われます:
- お宅などを訪問する(行く)
- 話を聞く(質問する)
- 話を聞く(拝聴する)
- 相手の意向をうかがう(探る)
つまり「伺います」は、「訪ねる・聞く・尋ねる」といった動作すべてを丁寧に伝えるときに使われる、とても多用途な敬語なのです。
【例文】
- 明日14時に御社に伺います。(=訪問する)
- 後ほど詳細を伺えますか?(=質問する)
- 先生のお話を伺って、感動しました。(=拝聴する)
特にビジネスシーンでは、「訪問する」「質問する」などの目的を含んだやりとりで頻出する表現です。
注意点としては、相手の行動には使えないという点。 たとえば「お客様が伺います」と言うのは間違いで、相手の行動には「いらっしゃる」「お越しになる」などの尊敬語を使いましょう。
「伺います」は、自分が相手に対して何かをする場面で使う、へりくだった言い方であることをおさえておきましょう。
「参ります」とは?
つまり、自分がどこかへ“行く”ときや、“来る”ときに使う丁寧な表現で、移動そのものをへりくだって表現する言い方です。
【例文】
- 本日14時に会場に参ります。(=自分が行く)
- ご案内いただければ、すぐに参ります。(=自分が行く)
- これからそちらに参ります。(=自分が向かう)
「参ります」は、「うかがう」のような“目的(訪問・質問など)”を含まないため、純粋に「行く・来る」だけをへりくだった表現にしたいときに使います。
また、ビジネス以外でも日常的に使いやすく、「今、駅に参りました」「お時間になりましたので参ります」といった柔らかい言い方としても活躍します。
ただし、「参ります」も自分の行動に使う謙譲語なので、相手の動作には使用しません。 お客様が来る場合は「いらっしゃいます」「お越しになります」などの尊敬語を使いましょう。
まとめると、「参ります」は「行く・来る」のシンプルな謙譲語であり、敬意を持って自分の移動を表すときに使う言葉です。
使い分けのポイント
以下のような観点で整理すると、使い分けやすくなります。
「目的の有無」で使い分ける
- 伺います:訪問・質問・拝聴など、何かをする目的がある場合
- 参ります:単純に行く・来るという移動を伝えたいとき
【例】
- 「〇〇についてお話を伺いにまいります」→ ◯
- 「〇〇について参ります」→ △(目的が曖昧)
「丁寧さ」よりも「適切さ」が大事
- どちらも丁寧な表現ですが、言葉の“機能”が異なるため、「丁寧だから参りますでOK」とは限りません。
- 「訪問」や「質問」が目的の場合は、やはり「伺います」が自然です。
「どちらでもよさそうな場面」は文脈で判断
たとえば、「今からそちらへうかがいます」「今から参ります」はどちらも丁寧ですが、
- 目的がある(話を聞く・お願いをするなど)→ 伺います
- 単なる移動 → 参ります
文脈に応じて、より伝わりやすく、誤解を生まない表現を選ぶことが大切です。
言葉の「丁寧さ」だけでなく、「伝わりやすさ」「自然さ」も意識して使い分けましょう。
よくある間違いと注意点
以下のような誤用は、気づかずにやってしまいがちなので注意が必要です。
訪問時に「参ります」を使ってしまう
【NG例】
- 「明日、御社に参ります」 → 言葉としては丁寧に聞こえますが、訪問という“目的”があるため、より適切なのは「伺います」。
【OK例】
- 「明日、御社に伺います」
質問や拝聴の意味で「参ります」を使う
【NG例】
- 「お話を参ります」→ ❌意味が通じない
【OK例】
- 「お話を伺います」→ ◎正しい
相手の行動に使ってしまう
【NG例】
- 「お客様が伺います」
- 「部長が参ります」
→ どちらも謙譲語なので、自分や自分側の人にしか使えません。相手に使うと失礼になります。
【OK例】
- 「お客様がいらっしゃいます」
- 「部長がお越しになります」
こうした誤用は、「気遣っているつもりが逆に失礼」と受け取られてしまうこともあるため、特にビジネスの場面では注意が必要です。
言葉は正しく使うことで、相手との信頼関係も築きやすくなります。
自然な敬語に見える言い換えテクニック
そんなときは、以下のような自然な言い換え表現を取り入れることで、丁寧さを保ちながらも柔らかい印象を与えることができます。
「参ります」の言い換え例
- 「これからそちらへ向かいます」
- 「まもなく到着いたします」
- 「ご指定の時間に合わせてうかがいます」
→ 単純に「行く・来る」を伝えるときは、「向かう」「到着する」などの言葉をうまく使うと自然です。
「伺います」の言い換え例
- 「ご都合のよい時間にお訪ねします」
- 「ご説明にあがります」
- 「お話をお聞かせいただけますか?」
→ 質問や訪問の意図がある場合は、「説明する」「訪ねる」「聞かせていただく」などの表現を使うと、より具体的で親しみやすい敬語になります。
敬語は、ただ丁寧な言葉を使えばいいというものではなく、相手との距離感や場面に合った“やさしい丁寧さ”が求められるのがポイントです。
堅苦しくなりすぎず、でもきちんと敬意は伝えたい——そんなときは、こうした言い換えテクニックが役に立ちますよ。
まとめ
- 伺います:訪問・質問・拝聴など、“目的がある行動”に使う
- 参ります:単純な「行く・来る」の謙譲語として使う
ビジネスやフォーマルな場では、場面に合った敬語を使い分けることで、より自然で信頼感のあるコミュニケーションが取れるようになります。
また、言葉が堅苦しくなりすぎないよう、言い換え表現を取り入れることで、相手にやさしい印象を与えることも大切なポイントです。
「丁寧だけど違和感がある」を防ぐには、言葉の意味や使いどころをしっかり理解することが第一歩。今回の内容をヒントに、あなたの敬語ライフがもっとスマートで気持ちのよいものになりますように。