書類の記入ミス、ルールの勘違い、似た名前の人物――
思わず「ややこしいな」「まぎらわしいな」と言いたくなる場面、ありますよね。
この2つの言葉、なんとなく似た使い方をされていますが、
実は意味も使いどころも、けっこう違うんです。
今回は、「まぎらわしい」と「ややこしい」の違いを、
具体例を交えながらわかりやすく解説します。
「まぎらわしい」とは?
→ 見た目や印象が似ていて、区別しにくいこと
「まぎらわしい」は、他のものとよく似ているために、間違えそうになる/混同してしまいそうになる状態を表す言葉です。
たとえば、「兄弟そっくりでどっちがどっちかわからない」「パッケージが似ていて別の商品を買ってしまった」など、見た目・名称・印象が似ていることに起因する混乱を指します。
特徴
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主に「外見・名前・表現」に関する混乱
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意図的ではなく、“自然と間違えやすい”もの
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客観的に見て、区別がつきにくいことが多い
使い方の例
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「薬のパッケージがまぎらわしいから、間違って飲んじゃった」
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「彼と弟が似すぎててまぎらわしいよ」
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「言い回しがまぎらわしいから、勘違いする人が多いよね」
「ややこしい」とは?
→ 複雑でわかりにくく、混乱させること
「ややこしい」は、物事の仕組み・事情・状況などが入り組んでいて、理解するのに時間がかかる、または混乱しやすいことを表します。
たとえば、「手続きの流れが多すぎてややこしい」「人間関係がややこしくて疲れる」といった、話の構造や状態そのものが複雑なことが多いです。
特徴
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主に「状況・話・人間関係」に関する混乱
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感情的な苛立ちがにじむこともある
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人為的・制度的に“わかりにくい作り”への不満
使い方の例
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「この申請方法、ややこしすぎて何からやればいいかわからん」
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「彼女の元カレと今の彼氏が同じ会社にいて…ちょっとややこしい話なんだけど」
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「手順がややこしいから、メモを取りながら進めたほうがいいよ」
比較表:「まぎらわしい」と「ややこしい」の違い
項目 | まぎらわしい | ややこしい |
---|---|---|
意味 | 見た目や名前が似ていて区別しづらい | 内容や構造が複雑で理解しにくい |
主な対象 | 見た目・言い方・人・物など(比較) | 話・状況・手順・関係性など(構造) |
原因 | 他と似ていることにより混乱が起きる | 要素が多すぎたり入り組んでいて混乱が起きる |
感情のトーン | 比較的冷静で説明的 | いら立ち・面倒くささを含むことがある |
使う場面 | 「間違いやすい」「見分けにくい」と感じたとき | 「面倒」「話がこじれてる」と感じたとき |
似たようで違う実例でチェック!
例1:商品パッケージ
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「まぎらわしい」:隣に並んでる商品とパッケージがそっくり
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「ややこしい」:成分表や用法が細かくて違いがよくわからない
例2:人間関係
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「まぎらわしい」:苗字が同じで、どっちの話をしてるのかわからない
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「ややこしい」:元カノが今カレの元彼女で…という複雑な関係性
例3:文章表現
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「まぎらわしい」:言い回しが似ていて、意味を誤解しやすい
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「ややこしい」:回りくどくて結論が見えにくい
どちらを使う?使い分けのコツ
こんなときは「まぎらわしい」 | こんなときは「ややこしい」 |
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似た名前が複数登場する | 話の筋や関係が込み入っている |
表現が曖昧で誤解されやすい | 手順が多くて順番が難しい |
外見や情報が似ていて混乱する | 状況がこじれて収拾がつかない |
まとめ:「まぎらわしさ」は“似すぎ”、 「ややこしさ」は“込み入りすぎ”
「まぎらわしい」と「ややこしい」は、どちらも“混乱”を表す言葉ですが、
その原因やニュアンスには明確な違いがあります。
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「まぎらわしい」:似ていて間違いやすいものへの指摘
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「ややこしい」:複雑で整理しにくい状況への不満や戸惑い
どちらもイライラやミスにつながる原因になりやすいからこそ、
正しく使い分けることで、自分の伝えたいことも、より明確に伝わります。