「起きてしまった」と嘆くのか、
「与えられた」と受け取るのか。
仕事でのミス、予期せぬトラブル、人間関係の摩擦……。
不測の事態が起きた瞬間、私たちの頭に真っ先に浮かぶ言葉は、たいていこれです。
「あぁ、また問題が起きてしまった」
その一言で、心はズシリと重くなり、思考も足取りも止まってしまいます。
ところが、同じ出来事に直面しても、なぜか軽やかに、むしろ前向きに対処している人がいます。
この違いは、能力や経験の差ではありません。
脳内での「言葉の翻訳」が違うだけなのです。
今回は、出来事を「問題」として抱え込む自分を、
「課題」に挑む自分へアップデートするための視点の切り替え方を探ります。

「問題」と捉えるとき
視点は「過去」と「否定」に向く
心理状態:終わりのない「犯人探し」
出来事を「問題(Problem)」と定義した瞬間、
私たちの脳は無意識に原因追及モードに入ります。
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なぜこんなことが起きたのか
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誰のせいなのか
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自分の何がダメだったのか
視点は常に「過去」に固定され、
自分や他人を責めるエネルギーに心が消費されていきます。
反省しているようで、実は前に進む力を失っている状態です。
影響:エネルギーの漏洩
「問題」という言葉には、
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悪いこと
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排除すべきもの
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早く消したい厄介事
というニュアンスが含まれています。
そのため、対処するプロセスそのものが苦痛になります。
まるで、底に穴の空いたバケツで水を汲み続けているような状態です。
頑張っているのに、手応えがない。
疲れるのに、前進している感覚がない。
それが「問題思考」の落とし穴です。

「課題」と捉えるとき
視点は「未来」と「肯定」に向く
心理状態:ワクワクする「攻略法探し」
同じ出来事を、あえて「課題(Task/Challenge)」と呼んでみます。
すると、不思議な変化が起こります。
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どうすればクリアできるか?
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次は何を改善すればいい?
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この経験をどう活かせる?
視点は「未来」に向き、
出来事は自分を成長させるための教材(リソース)へと姿を変えます。
影響:主体性の回復
「課題」という言葉には、
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達成すべき目標
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乗り越える価値のある壁
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ステップアップの機会
という前向きな響きがあります。
受動的に襲われる被害者から、
主体的に向き合う挑戦者へ。
ストレスさえも、「嫌な負荷」ではなく
心地よい緊張感に変わっていくのです。

【実践】
「問題」を「課題」に翻訳する3つのコツ
今日からすぐ使える、心の翻訳テクニックをご紹介します。
① 語尾を「しまった」から「与えられた」に変える
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「ミスをしてしまった」
→「改善の機会を与えられた」
言葉を変えるだけで、
出来事を受け止める心の器が広がります。
② 「なぜ」を「どうすれば」に変換する
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なぜこんな目に遭うのか?
ではなく、 -
どうすれば次は防げるか?
過去を責める思考をやめ、
未来を設計する時間に全振りします。
③ 「クリア後の報酬」を勝手に決める
課題には、必ずご褒美があります。
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経験値が上がる
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信頼が積み上がる
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自信が増える
この課題を越えた自分は、
何を手に入れているか?
先に報酬をイメージすることで、踏み出す力が湧いてきます。
筆者の視点
謝罪こそ「最大級の課題」だった
以前、私が仕事で大きなミスをし、
謝罪に行かなければならなかった時のことです。
最初はそれを、
「消してしまいたい問題」「人生の汚点」だと感じ、
逃げ出したい一心でした。
しかし、そこで一度立ち止まり、
こう考え直しました。
これは、自分の誠実さを試されている「課題」なんだ。
ここを越えれば、
相手と本音で話せる関係になるかもしれない。
そう自分に言い聞かせ、現場へ向かいました。
結果、相手は私の姿勢を評価してくださり、
以前よりも深い信頼関係が築けました。
「問題」として背を向けていたら、
決して得られなかった宝物です。
まとめ
あなたは「被害者」か「挑戦者」か
消耗したくないなら:
→ 「問題」というラベルを剥がしましょう
すべての経験を糧にしたいなら:
→ 目の前の出来事に「課題」という名前を付けましょう。
あなたの前に現れる出来事はすべて、
より高い場所へ進むための階段にすぎません。
「課題」と捉え直しても、最初の一歩には勇気がいります。そんな時は、こちらの知恵を。
【あわせて読みたい:心のアクセル】
不安で足が止まる時、背中を押してくれるのは「とりあえずやってみる」という楽観です。「案ずるより産むが易し」の精神で、課題に飛び込むコツはこちら。

