仕事でミスをしたとき、約束に遅れたとき、誰かに誤解されたとき――
自分の立場を説明したつもりが、「言い訳するなよ」と言われてしまった…。
そんな経験、ありませんか?
「言い訳」と「説明」は、どちらも自分の事情や理由を相手に伝える行為。
でも、受け取り方ひとつで、まったく別の意味に変わってしまいます。
今回は、この2つの言葉の違いを、目的・印象・使われる場面の観点からわかりやすく解説します。
「言い訳」とは?
→ ミスや責任から逃れようとする“自己正当化”
「言い訳」とは、本来「言い逃れのための理由付け」を意味します。
多くの場合、失敗や非難を避けるために、責任を回避しようとする意図を含んでいると受け取られます。
特徴
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ネガティブな印象を持たれやすい
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弁解・逃げ口上ととらえられやすい
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相手から「責任を取っていない」と思われることも
使い方の例
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「また遅刻?言い訳はもう聞き飽きたよ」
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「それ、ただの言い訳じゃない?」
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「ごめん、渋滞してて…って言い訳になるかな?」
補足
本人は「状況の説明」のつもりでも、言い訳と受け取られるときは、相手が納得していないサイン。
“責任から逃げようとしている”と感じさせた瞬間に「言い訳認定」されることが多いのです。
「説明」とは?
→ 状況や理由を冷静に伝える“情報提供”
「説明」は、自分の行動・考え・状況を相手にわかりやすく伝える行為です。
言い訳との最大の違いは、「責任回避の意図があるかどうか」。
特徴
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客観的・論理的な説明がベース
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相手に理解してもらうために行う
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信頼関係のもとで成り立つ行為
使い方の例
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「まずは状況を説明させてください」
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「なぜこうしたか、きちんと説明しておきたい」
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「担当者に説明を求めたが、明確な答えがなかった」
補足
「説明」は、責任を逃れるのではなく“果たそうとする姿勢”が見える言葉。
聞き手も「きちんと説明してくれている」と受け取ることで、納得や理解につながります。
並べて比較:「言い訳」と「説明」の違い
項目 | 言い訳 | 説明 |
---|---|---|
意味 | 責任を逃れるための自己正当化 | 状況や理由を相手に伝える行為 |
印象 | ネガティブ(逃げ・後ろ向き) | ポジティブまたは中立(説明責任) |
目的 | 批判・非難から逃れたい | 理解を得たい・納得してもらいたい |
使う場面 | ミス・失敗のあとに多用されがち | 報告・プレゼン・対応・トラブル解決時など |
相手の反応 | 不信感・不満・あきれ | 納得・安心・質問や対話の入り口になる |
「説明したつもり」が「言い訳」になるとき
実は、“言い訳”か“説明”かを決めるのは、聞き手側です。
✔ こんなとき、言い訳に聞こえやすい
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責任や謝罪の言葉が先にない
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結果ではなく「自分のつらさ」ばかりを強調
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相手の気持ちより“自分の都合”を優先した言い回し
✔ 一方、説明として受け入れられるには?
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「ご迷惑をおかけしました」などの誠意ある前置き
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原因・経緯・対応策を冷静に述べる
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相手が納得できるような論理的な順序で話す
説明の前に「謝罪」や「反省」をにじませることが、説明を説明として成立させるコツとも言えます。
使い分けのヒント
こんなときは「言い訳」と言われがち | こんなときは「説明」として伝わりやすい |
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「だって」「仕方なかった」から始める | 「まず、経緯をお伝えします」から始める |
責任を他人や環境に押し付ける | 自分の判断と反省を含めて話す |
結果への対処がない(原因だけ語る) | 再発防止や対応策に言及する |
まとめ:「説明」と「言い訳」の違いは、“責任”と“誠意”の姿勢に出る
「言い訳」と「説明」は、どちらも自分の考えや状況を“伝える”行為ですが、
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「言い訳」は、責任から逃げたい気持ちがにじむとき
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「説明」は、責任を持って相手に伝えようとする姿勢があるとき
に、それぞれ使い分けられます。
“何を話すか”だけでなく、“どう伝えるか”“誰に向けて伝えるか”が大切。
ちょっとした言い方の工夫ひとつで、信頼関係を築けるかどうかが変わってくるのです。