道具を揃えて覚悟を決める「環境構築」か。
手ぶらで飛び込む「スピード重視」か。
「今年こそは、英語をマスターする」
「健康のためにランニングを始める」
2月に入り、立春を目前にして、
新しい目標に向けてエンジンをかけ直している方も多いはずです。
しかし、ここで必ず一つの迷いが生まれます。
まずは形から入って、最新のウェアを揃えるべきか?
それとも、今あるTシャツで今日走り出すべきか?
新しい挑戦を「三日坊主」で終わらせず、
一生の「習慣」に変えるためには、
どちらのスタートが正解なのでしょうか。
私の、少しほろ苦い実体験を交えながら考えてみます。

「とりあえず始める」
熱量を逃さない「機動力」
メリット:「鮮度」のうちに体験できる
「やってみたい!」という気持ちには、
実は賞味期限があります。
思いついた瞬間がピークで、
時間が経つほど言い訳が増え、熱は冷めていきます。
「とりあえず始める」の最大の強みは、
この熱が冷めないうちに、実体験へ変えられることです。
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英語アプリを無料で触ってみる
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家の周りを10分だけ走ってみる
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ノート1ページだけ書いてみる
まず動くことで、
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自分に合っているか
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思ったより楽しいか
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続けたいと思えるか
という「適性」を、最短距離で見極められます。
リスク:「不便さ」が挫折を招く
ただし弱点もあります。
本来の楽しさを味わうための
最低限の環境が整っていないと、
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成果が出にくい
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上達を実感しにくい
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面倒くささが勝ってしまう
という状態に陥りがちです。
「始めたけど、なんか違う」
そう感じてやめてしまう人の多くは、
不便さに心が負けているのです。
「形から入る」
逃げ道を断つ「投資と演出」
メリット:「セルフイメージ」の書き換え
プロが使うような道具を揃えることは、
自分自身にこう宣言する行為です。
自分は、これを本気でやる人間だ
ウェア、道具、環境。
それらは単なるモノではなく、
自分のセルフイメージを書き換える装置です。
さらに、
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せっかく買ったのだから続けよう
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無駄にしたくない
という「損失回避の心理」が働き、
継続の力にもなります。
リスク:「準備」で満足してしまう
一方で、落とし穴もあります。
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道具を揃えた
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環境は完璧
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なのに、始めていない
いわゆる宝の持ち腐れ状態です。
準備そのものがゴールになってしまい、
行動が後回しになる。
これは「形から入る」人が
最も陥りやすい罠です。
【解決策】
挫折を防ぐ「段階的スタート」
結論から言えば、
どちらか一方に極端に寄る必要はありません。
成功率を最大化するのは、
段階を分けたハイブリッド型です。
まずは「超・とりあえず」で3日間(体験)
家にあるもの、無料のツールで構いません。
まずは3日間だけやってみます。
目的は、上達ではなく、
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楽しいか
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もう一度やりたいか
を確かめることです。
次に「一つだけお気に入り」を買う(形から)
全部揃えません。
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それを使うのが楽しみになる
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触るだけで気分が上がる
一点だけ、少し良いものを投入します。
これが「続けたい気持ち」を支える
小さな錨(いかり)になります。
成果が出始めたら「本格投資」
3週間ほど続いたら、
ようやく本格的な道具や環境へ。
これは準備ではなく、
自分へのご褒美です。
この段階まで来ると、
習慣はかなり強固になっています。
筆者の視点
アンプのないギターが教えてくれたこと
高校に入学した頃、
同級生に驚くほどギターが上手なヤツがいました。
「自分もあんな風に弾けたら」
憧れてお小遣いを貯め、
安いエレキギターを買いました。
ところが、
アンプ(音を出すスピーカー)までは買えませんでした。
完璧な道具は揃っていません。
それでも私は「とりあえず」ギターを始めました。
正直に言えば……
まったく上達しませんでした(笑)。
生音でポツポツ弦を弾くだけでは、
ロックの醍醐味は味わえなかったのです。
効率だけ見れば、
あのスタートは失敗だったかもしれません。
でも、
もし「アンプが買えるまで待とう」と
動かなかったら──
私は一生ギターを手にしなかったでしょう。
上達はしなかった。
でも、
好奇心に従って、すぐ動いた
この記憶は、
今でも私の挑戦を支える原体験になっています。

動き出した後の「心の持ち方」
とりあえず始めてみて、壁にぶつかった時はこちらの視点を。
【あわせて読みたい:失敗の捉え方】
始めてみたけれど上手くいかない。そんな時、何度も立ち上がるべきか、見極めるべきか。「七転び八起き」と「三度目の正直」の使い分けについてはこちら。 【ことばのどっち?】「七転び八起き」vs「三度目の正直」失敗した時、信じるべきはどっち?
まとめ
最高の道具は、あなたの「最初の一歩」
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自分の適性を素早く知りたいなら
→ 今あるもので、今すぐ -
本気を引き出し、習慣にしたいなら
→ 心が躍る道具を一点だけ
時間は矢のように過ぎていきます。
完璧な準備を待っていたら、春は終わってしまいます。
「アンプがなくても、まずは弦を弾いてみる」
その軽やかさこそが、
新しい自分への最短距離です。

