チームメンバーに意見を伝えたあと、
「言い方がきつかったかもしれない」
「ちゃんと伝えたはずなのに、他人事のような反応だった」
そんなモヤっとした経験はありませんか?
実はその原因、言い回しや内容ではなく「主語」にあることが少なくありません。
「私(I)」を主語にするのか、「私たち(We)」を主語にするのか・・・
たったそれだけで、相手が感じる圧力・距離感・共感度は大きく変わります。
この記事では、
-
自分の気持ちを角を立てずに伝える I(アイ)・メッセージ
-
チームの一体感を生み出す We(ウィー)・メッセージ
この2つを心理学的に比較し、
状況に応じて主語を切り替える「スイッチング術」を解説します。

主語を「I(私)」にする —— アイ・メッセージ
Iメッセージのメリット
角を立てずに、誠実に伝えられる
Iメッセージとは、
「あなたがどうか」ではなく
「私はどう感じているか」を主語にして伝える方法です。
たとえば、
-
❌「なんでまだ終わってないの?」
-
⭕「私は、今日中に終わると助かると思っているよ」
このように主語を「私」に変えるだけで、
相手は責められている感覚を持ちにくくなります。
Iメッセージがもたらす主な効果は次の3つです。
-
相手を否定せずに意見を伝えられる
-
感情や期待を正直に表現できる
-
「押し付け」ではなく「共有」に近づく
結果として、誠実で信頼できる印象を与えやすくなります。
Iメッセージのデメリット
個人の意見に留まりやすい
一方で、Iメッセージには弱点もあります。
-
「あくまで個人的な感想」に聞こえる
-
組織としての決定や方針が伝わりにくい
-
指示やルールとしては力が弱い
そのため、
チーム全体を動かしたい場面や、公式な判断には
Iメッセージだけでは物足りなくなることがあります。
主語を「We(私たち)」にする —— ウィー・メッセージ
Weメッセージのメリット
連帯感と当事者意識を生む
Weメッセージは、
「私たち」「チーム」「全体」を主語にする伝え方です。
たとえば、
-
❌「これは君の仕事だよね」
-
⭕「私たちの目標として、ここを仕上げたい」
この言い換えだけで、
相手は**「一緒に取り組んでいる」**という感覚を持ちやすくなります。
Weメッセージの強みは、
-
チームの一体感を高められる
-
共通の目的を強調できる
-
当事者意識を共有しやすい
特にリーダーやまとめ役の立場では、
非常に効果的な主語です。
Weメッセージのデメリット
責任が曖昧になりやすい
便利なWeメッセージですが、使い方を誤ると逆効果になります。
-
誰が責任を持つのか分からない
-
「みんなが言っている」という同調圧力に聞こえる
-
悪い結果のときに責任逃れに見える
たとえばトラブル時に
「私たちの判断でした」と言うと、
主体性のなさや曖昧さを感じさせてしまうことがあります。
実践:主語のスイッチング術
目的別・主語の使い分け
| 伝えたい目的 | 選ぶ主語 | 例 |
|---|---|---|
| ミスを指摘する | I(私) | 「私は、この点が少し気になった」 |
| 目標を共有する | We(私たち) | 「私たちは、このゴールを目指したい」 |
| 感謝を伝える | I+We | 「私は感謝しています。私たち全員が助かりました」 |
プロが意識する鉄則
悪い時は「I」、良い時は「We」
-
トラブルや失敗
→「私が責任を持って対応します」 -
成功や成果
→「私たちが成し遂げました」
この使い分けができる人は、
信頼されるリーダーになりやすい傾向があります。
【コミュニケーションをさらに深める】 主語を意識して相手との距離を縮めた後は、具体的な「改善点」をどう伝えるかが重要です。相手のタイプに合わせて、「まず褒める」べきか、「単刀直入に言う」べきか。その判断基準については、こちらの記事(「サンドイッチ型」 vs 「単刀直入型」)で詳しく解説しています。
まとめ:主語を変えるだけで、言葉の温度は変わる
-
摩擦を避け、想いを素直に伝えたいなら
→ I(私) -
チームの士気を高め、同じ方向を向きたいなら
→ We(私たち)
主語を一つ変えるだけで、
言葉は「指示」から「対話」へ、
「他人事」から「自分ごと」へと変わります。

