部下や後輩に改善点を伝えるとき、
「言いすぎてモチベーションを下げたくない」
「でも、ちゃんと直してほしい」
この二つの間で悩んだことはありませんか?
その結果、
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まず褒めてから指摘する
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あるいは、結論からズバッと伝える
という二つの代表的な方法に行き着きます。
いわゆる
「サンドイッチ型」と「単刀直入型」です。
どちらも間違いではありません。
ただし、使う相手と場面を間違えると逆効果になります。
この記事では、それぞれの心理的効果を整理しながら、
相手の成長を最大化するための使い分け基準を解説します。

まず褒める「サンドイッチ型」
サンドイッチ型とは?
サンドイッチ型とは、
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ポジティブな点を伝える
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改善点を指摘する
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再びポジティブな言葉で締める
という構成のフィードバックです。
メリット
心理的安全性を確保しやすい
サンドイッチ型の最大の強みは、
相手の防衛本能を下げられることです。
最初に褒めることで、
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「否定される場ではない」
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「自分は認められている」
と感じやすくなり、
その後の指摘も受け入れやすくなります。
特に、
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新人
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自信がまだ不安定な人
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失敗を引きずりやすい人
には、安心感を与える効果が大きい伝え方です。
デメリット
肝心な改善点がぼやける
一方で、サンドイッチ型には弱点もあります。
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褒め言葉だけが記憶に残る
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「結局、何を直せばいいのか」が曖昧
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パターン化すると見透かされる
特に、
「またこの流れか…」
と思われてしまうと、
褒め言葉そのものが形式的・お世辞に聞こえ、不信感につながります。
結論から言う「単刀直入型」
単刀直入型とは?
単刀直入型は、
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改善点
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問題点
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期待する行動
を最初に、ストレートに伝える方法です。
メリット
メッセージが明確で、改善が早い
単刀直入型の強みは、
何をどう変えればいいかが一瞬で分かることです。
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誤解が生まれにくい
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行動に移すまでが早い
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無駄な前置きがない
特に、
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中堅以上
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プロ意識が高い人
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改善スピードを重視する場面
では、「回りくどくない方が信頼できる」と受け取られることも多いです。
デメリット
心理的ダメージを与えやすい
ただし、単刀直入型は刃物にもなります。
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否定されたと感じやすい
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自信を失う
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萎縮して挑戦しなくなる
相手の状態を無視して使うと、
改善どころか関係性を壊すリスクがあります。
実践:フィードバックのスイッチング術
基準① 相手の「習熟度」で選ぶ
| 相手の状態 | 向いている型 | 理由 |
|---|---|---|
| 新人・自信がない | サンドイッチ型 | まず安心感が必要 |
| 中堅・経験者 | 単刀直入型 | 効率と本質を重視 |
| ベテラン | 単刀直入+対話 | 指示より議論が有効 |
基準② 指摘の「重さ」で選ぶ
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軽微なミス
→ 単刀直入型で簡潔に -
行動や姿勢の修正
→ 一方的に伝えず、対話を重視
(褒めるより「話を聞く」ことが重要)
最強の考え方
フィードバックより、フィードフォワード
どちらの型を使う場合でも、
最後は「過去」ではなく「未来」に向けましょう。
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❌「なぜできなかったのか」
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⭕「次はどうすればうまくいくか」
この未来志向(フィードフォワード)で締めることで、
指摘は「責め」ではなく「支援」に変わります。
【伝え方の技術を深める】 改善点を伝える際、「あなたは〜」と相手を主語にすると攻撃的に聞こえがちです。自分の感じたことを主語にする「私(I)」の視点と、チームの視点「私たち(We)」をどう使い分けるかについては、こちらの記事(「主語を I にする」 vs 「主語を We にする」)で詳しく解説しています。
まとめ:正解は一つではない
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安心感と関係性を守りたいなら
→ サンドイッチ型 -
改善スピードと明確さを重視するなら
→ 単刀直入型
大切なのは、
どの型を使うかではなく、相手の成長を本当に考えているか。
伝え方は技術ですが、
その根底にある「意図」は必ず相手に伝わります。
✍️ 最後に
フィードバックが難しいのは、
「正しさ」と「優しさ」を同時に求められるから。
型に頼るよりも、
相手の立場や今の状態を想像できるかどうか。
結局そこが、いちばんの分かれ道なのかもしれませんね。

