相手の意見や説明に強く同意したいとき、
「おっしゃる通りです」や「その通りですね」と返すことがありますよね。
どちらも意味としては「まったくその通りです」「完全に同意します」といった内容。
でも、使う場面や相手によっては、
「こっちは丁寧すぎるかも?」「あっちはラフすぎない?」と迷うこと、ありませんか?
この記事では、
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「おっしゃる通りです」と「その通りですね」の違い
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敬意のレベルや距離感の違い
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ビジネスや日常での使い分けのポイント
などを、例文を交えながらわかりやすく解説していきます。
「おっしゃる通りです」の意味と使い方
「おっしゃる通りです」は、
相手の発言を全面的に肯定し、その内容を尊重する丁寧な表現です。
意味
「おっしゃる」=「言う」の尊敬語
「通り」= 発言や主張の内容
つまり直訳すると、「あなたがおっしゃった通りです」という意味になります。
主に使われる場面
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上司や取引先、お客様とのやりとり
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プレゼン・会議・面接など、フォーマルな場面
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相手の意見を受け入れる姿勢を示したいとき
使用例
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「このプロジェクトは、もっと効率的に進められる余地がありますよね」
→「おっしゃる通りです。改善の余地は大いにあると思います」 -
「顧客目線での対応が大事だと思います」
→「おっしゃる通りです。そこを意識して今後も対応してまいります」
このように、「おっしゃる通りです」は、敬意・謙虚さ・柔らかい肯定感をセットで伝える表現です。
迷ったときは、基本的に「おっしゃる通りです」を選んでおけば間違いはありません。
「その通りですね」の意味と使い方
「その通りですね」は、相手の発言や意見に対して、
「まったくその通り」「私も同じ考えです」と賛同するカジュアルな表現です。
意味
「その通り」は、「まさにそうだ」「言われたことに異論なし」といった意味で、
「ですね」をつけることで、やわらかく同意のニュアンスを加えています。
主に使われる場面
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同僚や友人、年齢の近い相手との会話
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会話のテンポを壊さず、軽く同意したいとき
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日常的な雑談やカジュアルなミーティングなど
使用例
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「最近、外出先でもキャッシュレスが主流になってきましたよね」
→「その通りですね。現金を使う機会が減りました」 -
「この資料、説明が少し分かりづらいかも…」
→「その通りですね。構成を見直してみます」
「その通りですね」は、かしこまりすぎず、自然体で同意を示したいときに便利な表現です。
ただし、あまりにも目上の人に使うと「やや軽い印象」と受け取られる可能性もあるので注意が必要です。
場面別・使い分けのポイント
「おっしゃる通りです」と「その通りですね」は、どちらも“同意”を表す言葉ですが、
相手との関係性や場面のフォーマル度によって、使い分けることで印象が大きく変わります。
ここでは、いくつかのシーンごとに適した使い方を見てみましょう。
上司・取引先・お客様との会話
基本的には 「おっしゃる通りです」 を使うのが無難です。
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丁寧な印象を与えられる
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相手の発言を尊重していることが伝わる
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ビジネスメールや商談でも自然に使える
✕ 「その通りですね」はやや軽く、場合によっては失礼に感じられることも。
同僚や友人との会話
会話のテンポや距離感を重視したい場面では、 「その通りですね」 が自然です。
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フランクながらも丁寧な印象
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軽すぎず、適度な共感が伝わる
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ラフな打ち合わせや雑談で使いやすい
○「おっしゃる通りです」を使うと、少しかしこまりすぎる印象になることも。
書き言葉 vs 話し言葉
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メールや文書などの 書き言葉:→「おっしゃる通りです」が定番
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会話や雑談のような 話し言葉:→「その通りですね」でも柔らかく伝わる
※ただし、ビジネスメールでも「その通りですね」を使ってはいけないわけではありません。
相手や状況によって使い分ければOKです。
つまり、相手への敬意をしっかり伝えたいときは「おっしゃる通りです」、
フランクさや親しみやすさを重視したいときは「その通りですね」という感覚で選ぶとよいでしょう。
まとめ:「通り」の同意にも“敬意の温度差”がある
「おっしゃる通りです」と「その通りですね」は、
どちらも相手の意見に同意する言葉ですが、丁寧さや距離感に微妙な差があります。
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おっしゃる通りです:敬語レベルが高く、目上の人・ビジネスシーン向き
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その通りですね:フラットで親しみやすく、同僚や友人との会話向き
同じ“賛成”の気持ちを伝えるにも、相手や場面によって言葉を選ぶことで、
より信頼感や好印象を与えることができます。
会話やメールの中で「どちらにしようか」と迷ったときには、
その場の空気感と相手との関係性を思い出してみてください。
たったひと言でも、言葉の選び方ひとつで伝わり方が大きく変わる。
それが日本語の奥深さでもあり、会話の楽しさでもありますね。