その返信、相手はどう受け取っていますか?
上司や取引先からの連絡に返信する時、
「承知いたしました」と「かしこまりました」
どちらを使うべきか、迷ったことはありませんか?
なんとなく「かしこまりました」を使っておけば丁寧な印象になる──
そう思って使っている方も少なくありません。
しかし、この2つは
単に丁寧さの度合いが違うわけではなく、
“相手への敬意”と“内容理解の深さ”が違う
という大きなポイントがあります。
この記事では、語源から実務での使い分けまで解説し、
場面ごとの「正解の返信例」を提示します。
これを押さえておけば、
あなたの返信はより洗練され、
「この人は言葉のプロだ」と信頼されるはずです。
「承知」と「かしこまる」意味の決定的な違い
| 比較ポイント | 承知いたしました | かしこまりました |
|---|---|---|
| 語源・意味 | 「事情を知る」+「許可する(認める)」という意味合いが強い。「内容を理解した」という知的なニュアンス。 | 「恐れ入る」「つつしんで命令を受ける」という意味合いが強い。「謹んでお受けする」という行動的なニュアンス。 |
| ニュアンス | 内容を理解・確認 | 指示を謹んで受ける |
| 心理的効果 | 「内容を理解し、受け入れます」という対等な確認のニュアンス。 | 「あなたの指示を謹んでお受けします」という服従のニュアンス。 |
| 最適な場面 | 事務的な依頼や情報伝達への返答。社内での業務連絡。 | 接客や明確な命令・指示への返答。目上の人への強い敬意を示す場合。 |
👉 承知=理解
👉 かしこまる=敬意を含んだ受諾
「敬語のレベル」ではなく
「気持ちの深さ」が違う、と考えるとわかりやすいです。

どっちを選ぶ?判断する3つの基準
✔ 基準① 相手の立場(敬意の度合い)
| 相手 | 推奨 |
|---|---|
| 取引先・顧客・役員 | 「かしこまりました」 相手への最高の敬意を示す。特に、依頼を受けた際の謙譲の気持ちを強調。 |
| 上司 | 「承知いたしました」 適切な丁寧語。上下関係がありつつも、業務を対等な責任で進めるニュアンスに適している。 |
| 同僚・部下 | 「承知しました(丁寧語不要)」丁寧語を使うなら「承知しました」。過剰な丁寧語は逆に不自然になります。 |
👉 「かしこまりました」は最高レベルの敬意を伝える言葉。
✔ 基準② 内容(知るだけ?動く必要あり?)
依頼された行為が「知ること」で終わるか、「動くこと」を伴うかで判断します。
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情報伝達・確認(「知る」で完結する)の場合: 承知いたしました
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(例:)「会議は10時に変更です。遅れないように。」→「承知いたしました」
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明確な命令・作業依頼(「動く」必要がある)の場合: かしこまりました
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(例:)「至急、この資料をコピーして配布してください」→「かしこまりました。すぐに準備します」
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✔ 基準③ 緊急性
スピード感を求められる場面では、相手への配慮を示す表現を選びます。
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緊急性が低い、または余裕がある場合: 承知いたしました
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緊急性が高い、迅速な対応が求められる場合: かしこまりました(「謹んで迅速に対応します」という姿勢が伝わり、信頼感が増すため)
【実践】間違いやすい場面の「正解」
具体的な場面に当てはめて、迷いを解消しましょう。
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目上のお客様からのクレーム対応:
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正解:かしこまりました。謝罪と同時に、お客様の要望を「謹んでお受けする」という最高の姿勢を示すことが最優先です。
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上司からのメールでのタスク依頼:
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正解:承知いたしました。業務を「理解し、実行に移す」というニュアンスが適切です。過剰な「かしこまりました」は、かえって距離感を生むこともあります。
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ホテルや飲食店の接客:
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正解:かしこまりました。ホスピタリティ産業では、お客様の要望を「謹んで受ける」という姿勢が重要であり、「承知」の事務的な印象は不向きです。
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メールの件名のみへの返信(要件のみ):
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正解:承知いたしました。単に内容を理解した、という確認の意味が強いため、「承知」で十分です。
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まとめ:あなたの返信スタイル診断
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相手に最高の敬意と迅速な対応姿勢を示したい、ホスピタリティを重視するなら、「かしこまりました」を選びましょう。
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依頼内容を対等な立場で理解し、事務的に確実に実行に移したいなら、「承知いたしました」を選びましょう。
この使い分けで、あなたのビジネスコミュニケーションは格段に洗練されるはずです。
