「とりあえず、ビールで」——飲み会でよく耳にするフレーズですよね。
でも「いったんビールで」なんて言い方は、あまり聞いたことがないかもしれません。
どちらも“ひとまず”“一時的に”という意味で使われますが、実は使い方には明確な違いがあります。
一見似ているようで、実際の使い分けでは“目的の曖昧さ”や“中断の意図”といったポイントが分かれ道に。
今回は「とりあえず」と「いったん」の違いを、例文を交えながらわかりやすく解説します。
「とりあえず」の意味と使い方
「とりあえず」は、状況がまだはっきりしないときや、最終決定ではないけれど何か行動を起こすときに使われます。
🔹 例文:
- とりあえず、席に座って待っていてください。
- 雨が降ってきたから、とりあえずコンビニに入った。
- とりあえず、これで様子を見ましょう。
「深く考えず、今すぐにできることを先にやっておく」といったニュアンスがあり、臨機応変な場面でよく使われます。
🔹 ポイント:
- 一時的な対処や判断の保留に使われる
- あまり計画性がなく、その場の流れで判断している印象
- 最終的な意図が不明確なことが多い
「いったん」の意味と使い方
「いったん」は、「一度」「一時的に」という意味で、ある行動を一時的に行ってから、次の段階に進むことを示します。
🔹 例文:
- いったん、ここで休憩しましょう。
- 会議は、いったん中断します。
- いったん帰宅してから、また連絡します。
「いったん」は、あくまで“途中経過”や“中断”を意識した言葉で、後に続く予定や再開の意図が含まれます。
🔹 ポイント:
- 一時的に中断・保留する意図がある
- 計画的に段階を分けて行動する印象
- 再開や次の動作への布石として使われる
「とりあえず」と「いったん」の違いを比較
比較ポイント | とりあえず | いったん |
---|---|---|
意味合い | 今すぐできることを暫定的に行う | 一度中断・仮の動作を行う |
計画性 | あまりない | 比較的ある |
後の動き | 明確でない場合が多い | 明確に「再開」「次の段階」などがある |
例文の違和感 | 「とりあえずビール」は自然 | 「いったんビール」は不自然 |
まとめ:どう使い分ける?
- 「とりあえず」は、とにかく何かしなきゃという場面での柔軟な対応や、流れに任せた判断に。
- 「いったん」は、次の段階や再開を意識した行動に使うのが自然です。
たとえば、予定変更のときには「いったんキャンセルで」、流れに身をまかせたいときには「とりあえずやってみよう」というように、場面に応じてうまく使い分けましょう。