「それは違います」
会議でこの一言を正面からぶつけるのは勇気がいります。
・空気が悪くなる
・相手が不機嫌になる
・“敵に回した”と警戒される
しかし、曖昧に濁してしまうと、
・結局何も改善されない
・責任が自分に返ってくる
・「意見が無い人」と評価されてしまう
反対意見は“言わなければ損し、言い方を間違えると嫌われる”
という厄介な領域です。
この記事では、反論の入口としてよく使われる
「賛成ですが」 と 「一方で」
この2つのフレーズを比較し、
✔ 相手の心理にどう響くのか
✔ どんな場面に向いているのか
✔ その後の安全な論理展開
まで“実戦レベル”で解説します。
なぜ「安全に」反対意見を伝える必要があるのか?
反論とは「否定」ではなく、
“議論の質を高めるための追加提案” と捉えられるべきものです。
目的① 心理的安全性
→ アイデアを出すこと自体を恐れさせない空気が大切。意見の対立ではなく、「意見を出し合う場」としての安全性を守る。
目的② 提案者の尊重
→ 提案を否定するのではなく、「より良くする」ためのフィードバックであると伝える。
目的③ 議論を建設的に
→ 感情的な衝突を避け、論点を明確にすることに集中させる。
反論は攻撃ではなく、改善のための会話。

「賛成ですが」と「一方で」の決定的な違い
| 表現 | 賛成ですが(Yes, and/But) | 一方で(On the other hand) |
|---|---|---|
| 役割 | 共感(受容)→対立(主張)へと丁寧につなぐ | 並列(対比)として二つの意見を提示する |
| 心理効果 | 相手を一度受け止めるため、主張の角が丸くなる | 感情的な繋がりはなく、純粋な論理の対比を促す |
| 最適な場面 | 提案者との関係性を重視し、議論をソフトに着地させたい時 | データや客観的事実に基づき、議論の選択肢を示したい時 |
| コミュニケーション | 人中心 | 課題・数字中心 |
【実践】「賛成ですが」を選ぶべき時・「一方で」を選ぶべき時
「どっち?」の判断基準を具体的な行動レベルで明確にします。
「賛成ですが」戦略
→ 人間関係と感情に“配慮”しながら懸念を伝えたい時
提案者を否定しない一言が前に置かれるため、
相手への尊重を示しつつ反論できるのが強みです。
✔ 使うべき場面
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大枠には賛同しているが、一部懸念がある
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提案者の熱量が高い
-
モチベーションを損ないたくない
✔ 例文(反論が伝わるタイプ)
「A案のスピード重視の方向性は賛成です。ですが、セキュリティ面のリスクを抑える案も検討したいです。」
✔ さらに安全な展開
1️⃣ 受容
→「〜の意図は理解できます」
2️⃣ 接続
→「賛成ですが」
3️⃣ 懸念提示
→ 主語を自分に(“私は” “こちら側としては”)
4️⃣ 質問で返す
→「この点、どのように想定されていますか?」
👉 “疑問を提示する形”は、攻撃ではなく“対話”になる。
「一方で」戦略
→ 論理で冷静に対比したい時
主語を置かず、目的や事実ベースで視点を追加する切り口です。
感情を介さず、純粋に選択肢を提示できます。
✔ 使うべき場面
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データ・コスト・数字の議論
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意見というより情報追加
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賛成でも反対でもない中立立場
✔ 例文(客観性が伝わるタイプ)
「現状の市場調査ではA案が有利です。一方で、海外の事例を見るとランニングコストが増える可能性があります。」
✔ さらに安全な展開
1️⃣ 現状認識(敵対なし)
→「事実として〜である」
2️⃣ 接続
→「一方で」
3️⃣ 代替案
→「C案も比較対象に」
4️⃣ 根拠追加
→「データ引用」
👉 論理と根拠で説得力が増す。
角を立てずに主張を通すための「ロジカル展開」
ただフレーズを使うだけでなく、その後の意見展開の技術を解説し、記事の専門性を高めます。
「賛成ですが」の後の主張の安全な展開
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受容: 「〇〇さんの案の意図はよく分かります」
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接続: 「賛成ですが」
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懸念提示: 主語を自分に変える(例:「私が懸念しているのは〜」)
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問いかけ: 自分の主張を「質問」の形で投げ返す(例:「この点について、何か対策はお考えでしょうか?」)
「一方で」の後の主張の安全な展開
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現状認識: 「現状の課題は〇〇ですね」
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接続: 「一方で」
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代替案提示: 「Cという選択肢も検討に値するのではないでしょうか」
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客観的根拠: 提案の根拠となるデータや事実を添える(例:「先月の調査では、C案の方がユーザー満足度が高いという結果が出ています」)
まとめ:あなたの議論スタイルはどっち?
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議論の「調和」を重視するなら、「賛成ですが」を選び、相手への配慮から入るのが吉。
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議論の「正確性」を重視するなら、「一方で」を選び、客観的な対比構造を作るのが有効。
反論は敵を作る行為ではなく、
「チームでより良い答えを探すための技術」です。

その第一歩が、
最初の一言で空気を壊さないことですね。
最初に否定から入られるといやですよね。
