日常会話でもビジネスでもよく使われる
「近いうちに」「近日中に」。
どちらも “少し先の未来” を指す言葉ですが、
期限の明確さ と 相手の受け取り方 が大きく違います。
しかもこの2つは、
言った側の意図と、
言われた側の受け取り方に“ズレ”が生まれやすいため、
トラブルの原因になることもあります。
今回は、意味・ニュアンス・誤解ポイント・具体例を交えて、
2つの表現をわかりやすく深掘りします。

「近いうちに」:期限が“ふわっと曖昧”な未来
「近いうちに」は、
“もう少ししたら”“そのうち早めに” という
とても曖昧な未来を指す言葉。
期限の幅
人によって解釈がバラバラ。
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数日後
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1〜2週間後
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1ヶ月以内
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仕事によっては“期限なし”感覚の人も
👉 相手の感覚次第で大きくズレる。
言った側の意図
「具体的な日程は今は決めないけど、やる気はあるよ」
言われた側の受け取り
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すぐに連絡が来ると思って待つ人
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半月ほど待っても平気な人
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そもそも“社交辞令”と解釈する人
👉 価値観の違いがそのまま“時間の感覚差”に出る。
「近日中に」:期限が“比較的ハッキリ”した未来
「近日中に」は、
“具体的ではないが、比較的早い時期に確実に” という意味。
期限の幅
一般的には 数日〜長くても1週間以内 という感覚が多い。
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明日
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明後日
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今週中
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週明け(仕事による)
👉 ビジネスでは「数日以内」が基本解釈。
言った側の意図
「なるべく急ぎで対応するつもりです」
言われた側の受け取り
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数日以内に連絡が来ると考える
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“近いうちに”よりも早いと認識する
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期待感が高いぶん、遅れると不安や不満につながりやすい
言った側/言われた側の“齟齬ポイント”はここ
齟齬①:曖昧さの度合いが違う
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近いうちに=あいまいMAX
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近日中に=そこそこ具体的
同じ“すぐ”でも、
スピードが全く違う。
齟齬②:社交辞令に聞こえるかどうか
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「近いうちに」は社交辞令に使われやすい
→「そのうち会おうよ」的な軽さを感じる人も -
「近日中に」は社交辞令に向かない
→約束に近い言い回し
齟齬③:ビジネスの温度が違う
ビジネスでは
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「近いうちに」は“やや曖昧すぎる”印象
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「近日中に」は“対応の意志あり”の印象
例文でより明確に理解する
「近いうちにまた連絡しますね」
→ 時期:1週間後でも許容される可能性あり
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人によっては 3〜4日程度 を想像する
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別の人は 1〜2週間程度 を思い浮かべる
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さらに別の人は 「社交辞令だから、来なくても不思議じゃない」 と受け取ることも
👉 相手の価値観によって“幅”が極端に違う。
ニュアンス:社交辞令っぽく柔らかい
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やんわりとした距離感
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「今は具体的に決められないけど、いずれ」という曖昧な保留
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相手に圧をかけない優しい言い方
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逆に言えば、“実行する確約” が弱い
👉 相手が本気で待っていると、遅れたときに「まだ?」と不安が生まれやすい。
「近日中にご連絡いたします」
→ 時期:数日以内が当然だと思われる
一般的には
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遅くても 3日前後
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ビジネスなら 翌日〜3日以内
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長く見ても 週内 が期待される
👉 1週間も空くと「遅い」と感じる人がほとんど。
ニュアンス:急ぎの意志が伝わる
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「なるべく早く対応します」という誠意
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相手に安心感を与える
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その分、遅れると不満・不安が大きい
例:
「近日中に見積もりをお送りします」
→ 2〜3日以内に来ると思うのが普通
→ 1週間連絡がなければ「忘れてない?」と心配になる
👉 “遅れるとマイナス評価になりやすい言葉” でもある。
一言でいうと…
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近いうちに
→ 幅が広い・柔らかい・曖昧
→ 相手によって解釈が違いすぎる(ここが一番の問題) -
近日中に
→ 比較的早め・確実性がある
→ 遅れると「約束違反」に近い印象になる
使わない方が良い NG例
「近いうちに」「近日中に」は便利ですが、
状況によっては トラブルの原因 になる言い方です。
以下は 誤解・遅延・クレーム に発展しやすいNG使用例です。
❌ NG①:納期・締め切りに使う
「近いうちに納品します」
→ 「いつ?」と必ず思われる
→ 遅延トラブルの典型
「近日中に修正提出します」
→ 数日以内と思われる
→ 1週間かけると怒られるパターン
👉 納期に曖昧な言葉は絶対避けるべき。
❌ NG②:トラブル時・急ぎの場面で使う
「近いうちに対応します」
→ 火急案件なのに“のんびりしている”印象
「近日中に調査します」
→ 今すぐ必要なのに、数日かかる感じに受け取られる
👉 状況の緊急度と合っていないと信用を失う。
❌ NG③:相手に予定を委ねる場面で使う
「近いうちに会いましょう」
→ 日程が決まらず、結局会えない
「近日中にご相談できればと…」
→ 相手は“いつ連絡が来るか”不安になる
👉 調整が発生する場面で曖昧語を使うと混乱の元。
❌ NG④:メール返信・問い合わせ対応で使う
「近いうちに返信します」
→ “近いうち”が1週間でもOKと思いがち
→ 相手は翌日を期待している可能性大
「近日中に改めてご連絡します」
→ 3日以内と思われるが、本人は1週間後のつもりだった…というズレ
👉 返信予定は特にズレが起きやすいので要注意。
誤解を避ける代替表現(確実に伝わる言い方)
曖昧さをなくしたいときは、
期限を“数値”で示すのが最も効果的です。
以下の表現を使えば、
ほぼ100%誤解を避けられます。
具体的な日付を明示する(最強)
「○月○日までにご連絡します。」
→ 1番安全。誤解ゼロ。
「○日中にご返信いたします。」
→ ビジネスで最も信頼される言い方。
期間の幅をはっきり示す
「2〜3日以内に対応します。」
「今週中にまたご連絡いたします。」
→ “早すぎず遅すぎず”の調整がしやすく、相手も想定しやすい。
急ぎを伝えるとき
「できるだけ早めに対応いたします。」
→ 自分が急ぎ対応するが、具体的な時間を区切れない場合に使う。
「確認できしだい、すぐにご連絡します。」
→ 返信までの流れを明確にして安心感を届ける。
日程調整に便利
「来週の前半に一度ご相談のお時間をいただければと思います。」
→ “前半”と“相談”をセットにして相手の判断を助ける。
「○日と○日のいずれかでいかがでしょうか。」
→ 曖昧語を完全排除できる。
まとめ:曖昧語は便利だが、誤解の温床にもなる
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近いうちに → 幅が広すぎる、社交辞令寄り
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近日中に → 比較的早いが、相手の期待も高い
だからこそ、
ビジネスでは具体的な数字・日付に置き換えるのが最強 です。

