SNSで頻繁に耳にする
「アカウントのなりすまし」と「アカウントの乗っ取り」。
どちらも“勝手にアカウントを使われる” という点では同じですが、
その手口・危険性・被害の広がり方 は大きく異なります。
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なりすまし …偽アカウントを作られ、本人っぽく振る舞われる
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乗っ取り …本人のアカウントが奪われ、直接操作される
一見似ているようで、
実は対策や被害の範囲もまったく違う二つの行為。
今回はこの2つの違いを、
仕組み・危険度・被害例・対策まで含めて分かりやすく深掘りします。
「なりすまし」:偽アカウントを作り、本人のふりをする行為
「なりすまし」は、
本物とは別に“偽アカウント”を作成して、本人のように振る舞う行為。
✔ 本人のアカウントは無事
✔ ニセの“そっくりアカウント”が出現
✔ アイコン・名前・プロフィールを似せてくる
✔ DMや投稿で周囲を欺く
具体例
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本名と同じ名前で別のアカウントが勝手に作られる
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本人になりきってDMを送り、金銭を要求する
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偽アカウントがフォロワーに怪しいリンクを送る
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友人・家族が信じてしまうケースも
特徴
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本人のアカウントにはログインされない
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犯人は“外側から”偽装している
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気づくまで時間がかかる
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被害は周りの人に広がりやすい
👉 本人には直接アクセスできないため、技術より詐欺に近い行為。
「乗っ取り」:本人のアカウントが攻撃者に奪われる行為
「乗っ取り」は、
本人のアカウントそのものが攻撃者にログインされ、操作される行為。
✔ ログインID・パスワードを突破される
✔ 本人の投稿・DM・設定変更が勝手に行われる
✔ メールアドレスや電話番号を変更される
✔ 完全に“アカウントが奪われる”
具体例
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勝手にパスワードが変更されログインできなくなる
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クレジットカード情報や広告費が勝手に使われる
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大量DMが送られアカウントが凍結される
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最悪、復旧できないケースも
特徴
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犯人がアカウント内部に侵入
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情報・写真・DMなどすべて閲覧可能
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本人・周囲の両方に被害が及ぶ
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セキュリティ突破が関わるため危険度が非常に高い
👉 本人の“デジタルの家”に侵入されるのと同じで、深刻な被害が出る。
ニュアンス比較表(仕組み・危険度・被害)
| 観点 | なりすまし | 乗っ取り |
|---|---|---|
| 行為 | 偽アカウントを作る | 本人のアカウントに侵入 |
| 本人アカウント | 無事 | 盗まれる・操作される |
| 被害の性質 | 周囲が被害にあう | 本人+周囲が被害 |
| 危険度 | 中 | 高 |
| 目的 | 詐欺・偽情報拡散 | 情報窃取・金銭被害 |
| 防ぎ方 | 本人確認・報告 | 二段階認証・強いパスワード |
| 気づきやすさ | やや遅い | 比較的早い(ログアウト等) |

例文でニュアンスの違いをもっと明確に
なりすまし
「私の名前と写真を使った“偽アカウント”が作られていました。」
→ 本人のアカウントは無事。外側に“コピー”が作られる。
【さらに詳しく】
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本人のID・パスワードは盗まれていない
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ログイン履歴にも異常はない
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しかし、“本人そっくり”の別アカウントが存在する
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偽アカウントがフォロワーへDMを送りつける
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「怪しいURL」「ギフト当選を装った詐欺」「金銭要求」をすることもある
👉 本人は普通にSNSを使えているのに、周囲の人が被害を受ける構図。
👉 本物と並んで存在してしまうため、気づきにくく被害が長引きやすい。
乗っ取り
「突然ログアウトされ、アカウントに入れなくなりました。」
→ 本人アカウントが奪われ、内部を完全に操作される。
【さらに詳しく】
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ログインし直そうとすると「パスワードが違います」と表示される
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犯人がメールアドレスや電話番号を変更している可能性が高い
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投稿・DM・プロフィール内容が勝手に書き換えられる
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保存されていた写真・DM・個人情報がすべて閲覧される
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クレジット情報や広告アカウントも盗用される危険
👉 “家の鍵を奪われ、家の中を好き放題されている”のと同じレベルの被害。
👉 ログインできない時点で“緊急事案”と判断してよい。
例文追加:より現実的な場面で比較
なりすまし
「友達から『このアカウント、本当にあなた?』という連絡が来て初めて知りました。」
→ 周りの人の報告で発覚するケースが多い。
「偽アカウントが“副業で稼げます”というDMをばらまいていました。」
→ 詐欺につながりやすい。
乗っ取り
「深夜に自分のアカウントから大量のスパム投稿がされていて、翌朝には凍結されていました。」
→ 本人の行動として扱われるため被害が深刻。
「登録メールが見知らぬアドレスに変更されていて、復旧手続きもできません。」
→ 完全にアカウントを取られている状態。
決定的な違いの一言まとめ
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なりすまし:外側で偽者が“変装している”
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乗っ取り:内側に侵入され“本人になっている”
👉 被害の深刻度は 乗っ取りのほうが圧倒的に高い。
まとめ
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なりすまし
→ 偽アカウントを勝手に作られる
→ 被害は主に周囲に広がる
→ 詐欺的・偽情報によるトラブルが多い -
乗っ取り
→ 本人のアカウントが奪われる
→ DM・情報・設定がすべて操作される
→ 金銭・個人情報被害の可能性が非常に高い
同じ「SNSのトラブル」でも、
仕組みも危険性も根本的に違うため、
対策もまったく別になります。
(追加情報)SNSアカウントを守るためのセキュリティ対策
「なりすまし」と「乗っ取り」は、手口が違うため、
必要な対策もそれぞれ少し異なります。
ただし共通して重要なポイントも多いので、まとめて紹介します。
1. 共通して有効な基本対策
① 二段階認証(2FA)を必ずオンにする
最強の防御。
SNSが提供する SMS認証/認証アプリ(Google Authenticator等) を必ず設定。
→ 乗っ取り対策の最重要項目。
② 強力なパスワードにする
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他サービスと同じパスワードを使い回さない
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英数字・記号を混ぜる
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8〜12桁以上が理想
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パスワード管理アプリを利用すると安全
③ 不審なリンクは絶対に開かない
フィッシング詐欺でログイン情報を盗まれるケース多数。
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DM
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SMS
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メール
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コメント
どれも要注意。
④ 公開情報を最小限にする
なりすましは プロフィール情報が多いほど作りやすい。
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名前の書き方
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誕生日
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家族構成
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学校・会社名
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毎日の行動パターン
これらの過度な公開は避けるのがおすすめ。
2. 「なりすまし」への対策
① 本物アカウントで“本人である証拠”を定期的に示す
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定期的な投稿
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プロフィールの固定投稿(本人である旨)
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SNS内の公式認証(できれば)
偽物との区別がつきやすくなる。
② 偽アカウントを見つけたら即通報・ブロック
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SNSの「報告」から通報
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友達にも呼びかける
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被害が広がる前に止めることが重要
③ 本名+顔写真の組み合わせに注意
なりすましの材料になりやすい。
必要がなければ、顔写真だけ/名前だけの公開に留めるのも手。
3. 「乗っ取り」への対策
① ログイン履歴を定期的にチェック
Instagram・X(旧Twitter)・Facebook などは
ログイン端末や場所が確認できる。
不審な場所があれば即ログアウト&パスワード変更。
② メールアドレスや電話番号の乗っ取りにも注意
アカウントだけでなく、
メールが乗っ取られる → SNSもまとめて乗っ取られる
というケースが急増しています。
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メールにも二段階認証を設定
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パスワードはSNSとは別に管理
③ 公共Wi-Fiを安易に使わない
フリーWi-Fiは通信が抜き取られる危険あり。
VPNを使うか、重要操作は避ける。
4. 実際に被害にあったらどうする?
① 乗っ取られた場合
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パスワード即変更
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ログインできなければ「アカウント復旧」手続きへ
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登録メール・電話番号も確認
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二段階認証を再設定
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カードや広告の不正使用があればカード会社に連絡
② なりすましの場合
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偽アカウントをスクショして証拠保管
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SNS事務局へ報告
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周囲へ注意喚起
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投稿やリンクを開かないよう呼びかける
追加情報のまとめ:防げるトラブルは多い
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なりすまし は“外側に偽物が現れる”
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乗っ取り は“内側を奪われる”
どちらも怖いトラブルですが、
二段階認証・強いパスワード・不審リンク回避 を習慣化するだけで
大半の被害は防げます。
あなたのSNSを守るのは、
日々の小さな対策です。
