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「称賛」と「賞賛」の細かな違いとは?同じようで異なる二つの言葉

言葉

最近、会社で抜群の成果を上げた社員を表彰する機会があり、そのための準備をしていました。

部門長の承認を得るため、表彰文に「○○氏の成果を賞賛する…」と記載しようとしたところ、入力時に「称賛」と「賞賛」が表示されました。

「称賛」と「賞賛」、どちらを使うべきか迷いました。

辞書で調べてみると、両者はほぼ同じ意味とされているのですが…

結局、表示された最初の言葉を選んで文書を完成させ、承認を得ました。

しかしその後、上司に指摘されることに。どうやら「称賛」と「賞賛」には、微妙なニュアンスの違いが存在していたのです。

そこで、この記事では「称賛」と「賞賛」の意味の違いと、それぞれの適切な使い方について詳しく説明していきたいと思います。

 

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「称賛」と「賞賛」の意味の違いと適切な使用法

最初に、似ているようで異なる「称賛」と「賞賛」の意味について掘り下げます。

  • 称賛: 言葉による賞賛、つまり口頭でのほめたたえ。
  • 賞賛: 物的な報酬を伴う賞賛、つまり報奨としてのほめたたえ。

言葉によって直接ほめることが「称賛」であり、具体的な報酬を与えることが「賞賛」です。従って、社員の業績を物質的な報酬と共に認める場合は「賞賛」が適用され、単に口頭での評価や認識であれば「称賛」が使われます。

たとえば、「彼の努力に対する称賛の声が多く聞かれる」では、言葉のみが使われており、「称賛」が適切です。

一方で、「その業績には賞賛をもって報いる」といった場合には、何らかの形での報酬が伴うため「賞賛」が適切とされます。

この違いの理由を理解するために、それぞれの漢字の成り立ちと意味に注目します。

  • :これは「ほめる」「たたえる」という意味があり、「賛美」や「自画自賛」などの語に見られます。
  • :「ほめる」「たたえる」という基本的な意味を持ち、「推称」や「称揚」などの表現で用いられます。
  • :「ほめる」「たたえる」に加えて、「報酬」「贈り物」という意味が含まれており、物質的な報酬や認識を伴う表現、例えば「賞品」「賞金」などに使われます。

以上から、「称賛」と「賞賛」は、使用する文脈によって選ばれるべき言葉が異なることが明らかになります。

 

辞書における「称賛」と「賞賛」の定義と解釈

さて、「称賛」と「賞賛」の意味について、辞書にはどのように記載されているのでしょうか。

【称賛/賞賛】

  • 一般的には「ほめたたえること」と説明されています。

これによると、辞書では「称賛」と「賞賛」を同一項目で扱っており、意味も「ほめたたえること」として同じです。ただし、これだけの情報からは、どのような方法や状況でほめたたえるのかについての詳細は省略されています。これが、使用する際の混乱の原因になり得ます。

実際には、前述の通り、両語には細かなニュアンスの違いが存在し、その違いを理解することが使い分けにおいて非常に重要です。辞書だけではそのニュアンスが伝わらず、誤用の可能性が高まります。

また、日常生活において「称賛」や「賞賛」を頻繁に用いることは少ないかもしれません。例えば、子供が初めて歩いた際に「称賛する」と表現するよりも、「親が子供を優しくほめたたえた」という表現が自然です。これは、「驚く」を「驚嘆」と表現しないのと同様で、日常会話ではより簡潔で分かりやすい言葉が好まれます。

「称賛」と「賞賛」は、特にビジネスや公的な文脈で用いられることが多いため、その文脈での正しい理解と使用が求められます。

 

「称賛」と「賞賛」に加えて「称讃」と「賞讃」の解説

「称賛」と「賞賛」に非常に似た表現として、「称讃」と「賞讃」という字も存在します。これらは、元の「賛」字に「ごんべん」という部分が加わり「讃」になっています。

実際に、「賛」と「讃」はともに「ほめたたえる」という意味を持っています。したがって、「称賛」に対する「称讃」、また「賞賛」に対する「賞讃」は意味的には同じとされます。

ただし、ここで重要なのは、「讃」が常用漢字でないため、公式文書や公用文では「賛」を使用するのが一般的です。それに対し、「讃」はより文学的または古典的なニュアンスを帯びる場合があります。

また、元々「賛」は「たすける」という意味から派生し、「賛助会員」や「協賛」のように使われることもありますが、現代では「ほめたたえる」と同じ意味で広く用いられています。これに対して、「讃」は始めから「ほめたたえる」という意味を持っており、この点で少し異なります。

古代の文字「先」が省略されて「夫」になる過程で、「讃」と「賛」は形成されましたが、意味の進化においてはそれぞれ独自の変遷を経ていることが分かります。これらの違いを理解することで、言葉の深い理解が可能になり、より適切な文脈での使用が望まれます。

 

「称賛」と「賞賛」の使い分け方

「称賛」と「賞賛」は、よく似た意味を持ちながらも、その使用の文脈には微妙な違いがあります。マスメディアでは、一般的に言葉を統一することが多いですが、「称賛」と「賞賛」の場合、どちらも頻繁に使用されているため、明確な区分がされていないことが多いです。それにもかかわらず、効果的な使い分けが可能です。

以下に、「称賛」と「賞賛」の適切な使い方を例文を通じて紹介します。

「称賛」の使い方

  • 例文:
    • 彼の多大な貢献に対して、地域社会から称賛の声が寄せられた。
    • そのアーティストの創造性は、批評家たちによって広く称賛されている。
    • 長年にわたる献身的な奉仕に対し、称賛の声が多く上がっています。
    • 彼女の達成は、称賛だけでなく多くの尊敬も集めている。
    • その映画はその美学とメッセージで称賛された。

「賞賛」の使い方

  • 例文:
    • 彼の革新的なプロジェクトへの賞賛として、特別賞が授与された。
    • その選手の驚異的なパフォーマンスに対し、賞賛のトロフィーが贈られた。
    • 長期間の忠誠心を表す賞賛として、彼にはゴールドウォッチが贈られた。
    • 彼の公益活動に対する賞賛として、表彰状が授与された。
    • 彼女の教育への貢献が認められ、賞賛のセレモニーが開催された。

これらの例からわかるように、「称賛」は主に言葉や言説による賞賛を指し、「賞賛」は物質的な報酬や公式な認識が伴う場合に使われることが一般的です。このように使い分けることで、より精確な表現が可能になります。

 

まとめ

この記事を通じて、「称賛」と「賞賛」の意味と使い分けについて詳しく見てきました。ここで得た知識を簡潔にまとめます。

  • 称賛: 言葉によるほめたたえ。個人や集団の行為や成果を口頭で評価し、尊敬の念を表す用法です。
  • 賞賛: 物質的な報酬や具体的な賞を伴うほめたたえ。表彰式や賞の授与など、具体的な報酬を伴う場合に用いられます。

辞書ではこれら二つの言葉が同じ意味として記載されることがありますが、実際の使用では上記のような微妙なニュアンスの違いがあります。この違いを理解し、適切に使い分けることが重要です。

言葉はコミュニケーションの道具として、その使い方一つで相手に与える印象が大きく変わります。正確な言葉を選ぶことで、より効果的なコミュニケーションが可能になるでしょう。

 

漢字の意味をよく理解したら違いがわかりました。

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