本記事では、「ホームページ」と「ウェブサイト」の違いを詳しく解説します。
どちらもインターネット上の情報ページを指す言葉として使われますが、
本来の意味や使われ方には明確な違いがあります。
「会社のホームページを見ました」「ウェブサイトを作りました」など、
場面によって自然な言い回しが変わります。
日常会話・ビジネス文書・IT業界での使い分けを整理して、
言葉の背景と印象の違いを正しく理解しておきましょう。
「ホームページ」とは?
意味と由来
「ホームページ(Home Page)」は、もともと
ウェブブラウザを開いたときに最初に表示されるページ(=トップページ) を意味します。
たとえば、会社の公式サイトで言えば「トップページ」のこと。
個人用パソコンでは、ブラウザの最初に表示されるページ(Yahoo!やGoogleなど)も“ホームページ”と呼びます。
現在の使われ方
ただし日本では、
1990年代のインターネット黎明期に「ホームページ=ウェブサイト全体」として定着しました。
そのため、現代では次のような広義の使われ方が一般的です:
-
「会社のホームページをリニューアルしました」
-
「新しいホームページを作りたい」
-
「学校のホームページを見てください」
👉 「ホームページ」は“サイト全体”を指す日常用語として浸透しています。
印象
-
ややカジュアル・一般的な言い方。
-
社外への案内・広報などで多用される。
-
高齢層にも通じやすく、公共・教育機関でよく使われる。
「ウェブサイト」とは?
意味と定義
「ウェブサイト(Website)」は、
複数のウェブページが集まった情報の集合体を指します。
Web(World Wide Web)上の「サイト(場所)」という意味で、
企業・団体・個人が情報をまとめて発信する“領域”そのものです。
つまり、
ウェブサイト = 複数のページを含む情報構造
ホームページ = そのトップページ、または入口ページ
という関係になります。
現在の使われ方
-
IT・ビジネス・マーケティングの分野では「ウェブサイト」が正式名称。
-
技術書や企画書でも「ウェブサイト制作」「コーポレートサイト」と表現されます。
例文:
-
「ウェブサイトを通じて採用情報を発信しています」
-
「ウェブサイト全体のUIを改善する必要があります」
👉 「ウェブサイト」は“構造・システム・戦略”を意識した専門的な言葉です。
使い分けのコツ
「ホームページ」と「ウェブサイト」は、
どちらも“インターネット上の情報発信の場”を意味しますが、
使う人の立場や文脈によって、自然に選ばれる言葉が違います。
つまり、
-
「誰に向けて話すのか」
-
「どんな目的で使うのか」
で選び方が変わるのです。
定義の違い
項目 | ホームページ | ウェブサイト |
---|---|---|
定義 | トップページ、またはサイト全体を指す日本独自の俗称 | Web上の複数ページを含む情報集合体(正式用語) |
補足:
本来、“ホームページ”はサイトの「入口(トップページ)」という意味でした。
しかし日本では1990年代にパソコン通信やインターネットが普及する際、
「個人の情報発信=ホームページを持つ」と表現されたため、
「個人サイト」や「企業のサイト」全体をホームページと呼ぶ文化が根づきました。
一方、「ウェブサイト」は技術的・構造的な意味を重視する言葉です。
HTML・CSS・サーバー・ドメインなどを前提とする“情報システム”という側面が強く、
Web制作・運用の現場では必ずこちらを使います。
使用場面の違い
項目 | ホームページ | ウェブサイト |
---|---|---|
使用場面 | 一般・広報・日常会話・学校・自治体など | IT・企画・マーケティング・ビジネス文書など |
具体例:
-
✅「会社のホームページを見ました」
→ 面接や電話、一般会話で自然な言い方。 -
✅「新しいウェブサイトのデザインを検討しています」
→ 社内会議や制作現場、資料で使う表現。
👉 「ホームページ」は“利用者側”の視点、
「ウェブサイト」は“運営・設計側”の視点。
同じものを指していても、話す立場によって言葉が切り替わります。
印象の違い
項目 | ホームページ | ウェブサイト |
---|---|---|
印象 | カジュアル・親しみやすい・やわらかい | 正式・専門的・グローバル・信頼性が高い |
感覚的には:
-
「ホームページ」は会話で使って違和感がない言葉。
→ 「うちの学校のホームページに載ってたよ」など。 -
「ウェブサイト」は書類や説明資料でしっくりくる言葉。
→ 「ウェブサイトをリニューアルしました」「企業ウェブサイトを構築します」など。
また、海外クライアントや外資系企業では「Website」が標準なので、
ビジネス英語や国際的な文脈では必ず“ウェブサイト”を使うのが自然です。
主な使用者の違い
項目 | ホームページ | ウェブサイト |
---|---|---|
主な使用者 | 一般利用者、自治体、学校、店舗運営者 | Web制作会社、企業広報、マーケター、エンジニア |
業界別の傾向:
-
👩🏫 教育・公共機関:
「ホームページ」という表現を好む(年齢層・馴染みの影響)。 -
💼 企業・マーケティング業界:
公式資料・IR情報では「ウェブサイト」を使用。 -
💻 Web制作・技術者層:
ディレクター・デザイナー・エンジニアは、ほぼ「ウェブサイト」を使う。
つまり、
社外発信=ホームページ
社内企画・技術文書=ウェブサイト
と覚えると、自然に使い分けられます。
類似表現との関係
表現 | 意味・特徴 |
---|---|
公式ページ | 企業・学校・自治体などの正式な案内ページを指す。広報的。 |
HP(エイチピー) | 「ホームページ」の略語。会話・広告・印刷物で多用。 |
Webサイト | 「ウェブサイト」の英語表記。IT業界ではこちらが主流。 |
オウンドメディア | 自社が運営する情報発信型ウェブサイト。マーケティング用語。 |
使い分け例:
-
「公式ページ」…広報が強い。
-
「HP」…一般層への案内・ポスター・広告など。
-
「ウェブサイト」…構築・設計・運営・マーケティングの文脈。
👉 「ホームページ」と「HP」は“親しみやすい表現”、
「ウェブサイト」と「Webサイト」は“正確でビジネス寄りの表現”。
まとめると
比較軸 | ホームページ | ウェブサイト |
---|---|---|
定義 | トップページまたは全体の俗称 | 複数のページで構成されたWeb上の情報体 |
使用場面 | 広報・案内・日常会話 | 企画書・マーケティング・IT業務 |
印象 | 親しみやすい・柔らかい | 正確・専門的・信頼性が高い |
主な使用者 | 一般層・学校・自治体 | 企業・Web担当者・制作会社 |
類似表現 | 公式ページ、HP | Webサイト、オウンドメディア |
💡 まとめると:
「ホームページ」は“見る人の言葉”、
「ウェブサイト」は“作る人の言葉”。
誤った使い方に注意
「ホームページ」と「ウェブサイト」は、
意味の違いを知らなくても会話が通じてしまうため、誤用が放置されやすい言葉です。
しかし、ビジネスや技術文書では正しく使い分けないと、
「専門知識が足りない印象」を与えてしまうこともあります。
ここでは、よく見られる誤用例と自然な言い換えを紹介します。
❌ ①「ウェブサイトのホームページを開く」
誤用の理由:
「ウェブサイト」と「ホームページ」を同時に使うと、二重表現になります。
“家の玄関を開けて家に入る”のように、意味が重なってしまうためです。
NG例:
このウェブサイトのホームページを開いてください。
正しい言い方:
-
このウェブサイトを開いてください。
-
このサイトのトップページを開いてください。
👉 「トップページ」は「ホームページ」と同義なので、技術的・説明的な文脈では「トップページ」が自然です。
❌ ②「ブラウザをホームページにアクセスする」
誤用の理由:
“ブラウザ”はウェブサイトを見るためのソフト。
「ホームページにアクセスする」ではなく、**「ウェブサイトにアクセスする」**が正しい表現です。
NG例:
このブラウザをホームページにアクセスして使用します。
正しい言い方:
-
ブラウザを使ってウェブサイトにアクセスします。
-
Google Chromeから公式サイトにアクセスしてください。
👉 技術文書・マニュアルなどでは「ホームページ」は使わず、「公式サイト」や「ウェブサイト」を用いるのが一般的です。
❌ ③「弊社のホームページページをご覧ください」
誤用の理由:
「ホームページ」に「ページ」をつけると、“ページ”が重複して不自然になります。
NG例:
詳細は弊社のホームページページをご覧ください。
正しい言い方:
-
詳細は弊社のホームページをご覧ください。
-
詳細は弊社のウェブサイトをご覧ください。
👉 「ホームページ」にはすでに“ページ”の意味が含まれているため、重ねて使わないよう注意。
❌ ④「ホームページを作りたい(=1ページだけ)」
誤用の理由:
「ホームページ=1ページ」と誤解しているケース。
実際には、複数ページを含む“ウェブサイト全体”を指すことが多く、
制作依頼や見積もりの際に誤解を招きやすい言い方です。
NG例:
名刺代わりにホームページを1枚だけ作りたいんです。
正しい言い方:
-
名刺代わりに簡単なウェブサイトを作りたいです。
-
1ページ構成のランディングページを作りたいです。
👉 制作業界では、「ホームページ制作」よりも「ウェブサイト制作」「LP制作」と言う方が明確です。
❌ ⑤「ホームページアドレス」「ホームページURL」
誤用の理由:
“ホームページ”という言葉に“Webアドレス(URL)”を重ねて使うのは不正確。
厳密には、「ウェブサイトのURL」「公式サイトのアドレス」が正しい表現です。
NG例:
お問い合わせはホームページアドレスまでお願いします。
正しい言い方:
-
お問い合わせはウェブサイトのフォームからお願いします。
-
公式サイトのURLはこちらです。
👉 公的文書・案内文では「ウェブサイト」または「公式サイト」が推奨されます。
❌ ⑥「英語で“ホームページ”は通じる?」
誤用の理由:
英語圏では “Home page” は「トップページ」限定。
「会社のホームページ」と言っても、「1ページだけ?」と誤解される可能性があります。
NG例(英語):
Please visit our home page.(※トップページ限定の意味)
正しい言い方(英語):
-
Please visit our website.(ウェブサイト全体を案内)
👉 海外向けビジネスでは “website” のみを使うのが標準です。
まとめ:使い分けの3原則
-
「ウェブサイト」=全体を指す正式名称
→ 公的・技術・ビジネス文書では必ずこちらを使用。 -
「ホームページ」=トップページまたは俗称
→ 一般会話・学校・広報など親しみやすい場面で使用。 -
重ねて使わない・混同しない
→ 「ウェブサイトのホームページ」「ホームページURL」などは避ける。
つまり、
💡 「ウェブサイト」は“構造や仕組みを語る言葉”、
💡 「ホームページ」は“入口や印象を語る言葉”。
使い分けを意識することで、文章の信頼度・専門性・印象が大きく変わります。
日常会話ではどちらでも問題ありませんが、
ビジネス文書やIT関連の文脈では「ウェブサイト」が正確です。
場面や相手に合わせて使い分けることで、言葉の印象がぐっとスマートになります。