私たちは日常生活や仕事の中で「失敗した」「しくじった」という言葉をよく使います。どちらも「うまくいかなかった」という意味を表しますが、実は響きや使われ方には大きな違いがあります。「失敗」はフォーマルで客観的な表現、「しくじる」はくだけた日常的な表現として使われることが多いのです。
本記事では、この二つの言葉の意味やニュアンスの違いを、由来・使用例・誤用例を交えながら詳しく解説します。
「失敗」の意味と特徴
辞書的意味
「失敗(しっぱい)」とは、物事が思い通りに運ばず、望んだ結果を得られないこと。
特徴
-
フォーマルで客観的な言葉
-
ビジネスや学術的な文章でも使える
-
個人の小さなミスから大規模な失策まで幅広く用いられる
例文
-
計画がうまくいかず、大きな失敗に終わった。
-
試験に失敗してしまった。
→ 公的・公式な場面でも使える汎用的な表現です。
「しくじる」の意味と特徴
辞書的意味
「しくじる」とは、物事をやり損なうこと。失敗すること。
語源
諸説ありますが、「仕損じる(しそんじる)」が訛って「しくじる」になったとされます。つまり「仕(仕事・行い)を損じる=やりそこなう」という意味です。
特徴
-
口語的でくだけた表現
-
仲間内や会話でよく使われる
-
自分のミスや小さな過ちに対して使うことが多い
例文
-
今朝は寝坊して、会議に遅刻するという大きなしくじりをした。
-
面接で緊張して答えを間違え、完全にしくじった。
→ 軽いニュアンスで使うことも多く、ユーモラスな響きもあります。
「失敗」と「しくじる」の違いを整理
表現 | 意味 | ニュアンス | 使用場面 |
---|---|---|---|
失敗 | 望んだ結果を得られない | フォーマル・客観的 | ビジネス、公式な文章 |
しくじる | やりそこなう、失敗する | 口語的・くだけた響き | 日常会話、自分のミス |
誤った使い方に注意
-
「大企業がしくじった」
→ 日常会話では使えますが、新聞や報告書など公式文書では「失敗」が適切。 -
「試験にしくじった」
→ 会話では自然ですが、作文や正式な記録には「試験に失敗した」を用いる方が望ましい。 -
「失敗したよ、寝坊して遅刻した」
→ 不自然ではないが、この場合は軽いニュアンスなので「しくじった」の方がしっくりくる。
関連語との比較
-
凡ミス:小さな単純なミス。カジュアルな言い回し。
-
失策:戦略や方針の誤り。大きな範囲での失敗を表す。
-
過ち(あやまち):道徳的・倫理的な誤りを含む表現。
-
ミス:英語由来で、現代の日常会話やビジネスで多用される。
まとめ
「失敗」と「しくじる」は、どちらも「うまくいかないこと」を表しますが、
-
失敗:フォーマルで幅広い場面に使える汎用表現
-
しくじる:くだけた口語表現で、小さなミスや失態に使う
という違いがあります。
同じ「やりそこなう」でも、公式文書では「失敗」、友人との会話では「しくじる」と使い分けることで、自然で的確な日本語表現になります。