海外の旅行中にテレビで天気予報を見て、95°Fのような見慣れない温度表示を目にしたことはありませんか?
それは温度を華氏で表示している場合で、摂氏では約32°Cになります。
この記事では、なぜ世界には摂氏と華氏の二つの温度単位が存在し、それぞれにどのような特徴があるのか、さらにそれらを変換する公式や、どの国でどの単位が主に使用されているのかを紹介していきます。
摂氏と華氏の主な違い
摂氏と華氏の温度単位は、共に水の状態変化を基準にしています。
摂氏の場合、水が凍る点を0℃とし、沸騰する点を100℃と定めており、この二点の間を等分して100段階に分けます。
- 水の凝固点→0℃
- 水の沸点→100℃
華氏では、水の凝固点を32°Fとし、沸点を212°Fと設定し、この範囲を180段階で区切っています。
- 水の凝固点→32°F
- 水の沸点→212°F
この結果、摂氏で温度が1℃上がることは、華氏では約1.8°Fの上昇に相当し、華氏での変化率は摂氏の約1.8倍となります。
摂氏から華氏への変換方法、そしてその逆
華氏を摂氏に変換するには、以下の公式を用います: 摂氏=華氏−321.8
そして、摂氏から華氏への変換は次の式で行います: 華氏=摂氏×1.8+32
例として、人間の平均体温を摂氏で表すと36.5℃、これを華氏に変換すると、約97.7°Fになります。
摂氏を採用している国々と華氏を使用している国々
アメリカ合衆国
アメリカでは、公式には摂氏の使用が法律で定められているものの、実際の日常生活では華氏が広く用いられています。天気予報では主に華氏での表示が標準であり、インターネット上では摂氏と華氏が並記されることが多いです。家庭用のデジタル体温計には、華氏と摂氏の表示を切り替える機能が備わっています。学校教育では、基本的に華氏が主流で、摂氏はあまり詳しく学ばない状況です。アメリカで温度単位を華氏から摂氏へ完全に移行することは、経済的な大きな影響を伴うため、なかなか進展していません。
ジャマイカ、バハマ、ケイマン諸島なども華氏を採用している国々です。
ヨーロッパ
ヨーロッパの多くの国々では、以前に華氏が使われていたものの、現在は摂氏が広く採用されています。ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、チェコ、ポーランド、トルコなどでは、生活の多くの面で摂氏が用いられています。
イギリスでは、1960年代後半から1970年代にかけてメートル法への切り替えの一環として摂氏への移行が進められました。しかしながら、現在も非科学的な分野では華氏が用いられていることがあります。
アジア
アジアでは、日本、中国、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、インドなど、地域全体で摂氏温度単位が一般的に使用されています。これらの国々では、日常生活や科学的な文脈で摂氏が標準として採用されています。
オセアニア
オセアニア地域では、オーストラリアやニュージーランドを含むほとんどの国と地域で摂氏が使用されています。この地域で摂氏が広く採用されていることは、国際的な科学コミュニティとの一貫性を保つための一因となっています。ただし、パラオ共和国のように華氏を使用している例外もあります。