ファッション用語はしばしば複雑に感じられます。特に、似ているけれども具体的な違いがはっきりしないアイテムが多いですよね。
特に、「ブレザー」、「ジャケット」、そして「スーツ」という用語は、一般的なイメージはあるものの、それぞれの違いを詳細に説明できる人は少ないのが実情ではないでしょうか。
今回の記事では、これらのアイテムの違いをクリアに解説していきます。
「ブレザー」と「スーツ」はそれぞれ「ジャケット」のバリエーション
「ブレザー」と「スーツ」、これらはどちらも「ジャケット」のカテゴリーに含まれます。一般的に、「ジャケット」とは袖付きの上着を指す言葉です。
「ブレザー」とは、ジャケットのうちテーラードスタイルのものを指す言葉で、一般的にフォーマルな場面で着用されます。
一方、「スーツ」とは、テーラードジャケットとスラックスがセットになったアンサンブルのことを指し、商品名ではありません。
ジャケットの歴史と多様性
「ジャケット」とは、袖付きの上着のことで、その起源は14世紀半ばに遡ります。当時、農民が着用していた膝丈の長袖作業着がジャケットの原型とされています。これらは初め「ジャック」と呼ばれ、時間が経つにつれて「ジャケット」という名称に進化しました。
16世紀までのジャケットは男性専用で、一般的には長めのデザインでベルトで締めるスタイルが主流でした。しかし、18世紀には女性もジャケットを着用するようになり、多様なスタイルが生まれました。
ジャケットにはコートより短いものが一般的ですが、その形状や長さには様々なバリエーションが存在します。例えば、ジャンパー型の短いジャケットや、前開きのスタンダードなもの、さらには被って着るスタイルのものまであります。
ジャケットはカジュアルウェアとしてだけでなく、フライトジャケットのような特定の職業用途や、ダウンジャケットのような防寒具としても使用されます。また、レザージャケットなど素材に特徴があるものもあります。
次のセクションでは、ブレザーという特定のタイプのテーラードジャケットに焦点を当て、その特徴とスタイリングについて詳しく見ていきます。
ブレザーの特徴と歴史
「ブレザー」とは、テーラード型のジャケットを指し、ダブル前開きやシングル前開きのスタイルが存在します。テーラードジャケットは一般に、光沢のある素材如く綿、ポリエステル、アクリルで作られ、しばしばプラスチック製のボタンが用いられます。ブレザーは色も様々で、テーラーによってフォーマルな服として仕立てられることが一般的です。
ブレザーの主要な素材にはフランネルがあり、特に紺色がポピュラーです。フランネルは厚手の毛織物で、保温性が高いため、ブレザーに適しています。一方で、ボタンは従来の金属製で、男性用が主流ですが、女性用も存在し、スポーティーなデザインが特徴です。ただし、「スポーティー」という言葉は、活動的でカジュアルな意味合いで使われることが多いです。
日本では、ブレザーは特に学生の制服として認知されており、多くの学校で採用されています。これらは一般に金色のボタンを特徴とし、学校のエンブレムが付けられていることが一般的です。
2つのブレザーの語原の由来
一つは、1829年にケンブリッジ大学のボートチームがオックスフォード大学とのレガッタで着用した赤いジャケットから、「Blazer」と名付けられたことです。
もう一つの語源は、1945年頃にイギリス海軍の「ブレザー号」の乗務員の制服がダブル前開きのブレザーの起源とされています。
ブレザーは初めて赤色で広まりましたが、その後、様々な色や用途で使われるようになり、英国の社交クラブや退役軍人会、学生服としても普及しました。やがてアメリカへと広がり、私立大学の制服やスポーツチームのユニフォームとしても採用され、現在では世界中でカジュアルな場面で着用されるようになりました。
スーツについての詳細解説
スーツは、商品名ではなく、テーラードジャケットとスラックスから構成されるツーピース、あるいはそれにベストが加わったスリーピースのアンサンブルを指します。これは社会人がオフィスなどで着用する一般的な服装です。スラックスとは、ズボンのことを示します。
スーツの特徴として、上下が揃っていることが基本条件であり、伝統的にはネクタイもセットの一部とされています。ただし、最近ではクールビズなどの影響でネクタイ無しでスーツを着用することも増えています。
ここではスーツの上着についてさらに詳しく解説します。混乱を避けるため、ここではスーツの上着を単に「スーツ」と呼びます。
かつてはテーラードジャケットの一種とされた「スーツ」ですが、時間とともに独自の発展を遂げ、もとのテーラードジャケットとは一線を画するようになりました。アメリカで仕事着として広まり、その後、世界中のビジネスシーンでの標準的な装いとして定着しました。現在では、スーツは社会人の正装として広く認識されています。
デザイン面では、無地が主流であるものの、ストライプやチェックといった柄もあります。襟には通常刻みが入り、上半身にフィットするスリムな作りが一般的です。
↑スーツの襟の刻み
これは、通常スーツの下にはワイシャツ単独、あるいはワイシャツとベストを着用するため、余計な隙間を設ける必要がないためです。
まとめ
この記事では、ファッションの基本としてよく耳にする「ジャケット」、「ブレザー」、「スーツ」の違いについて解説しました。これらの用語が指す具体的なアイテムは以下の通りです。
- ジャケット: 一般的に袖付きの上着全般を指します。カジュアルからフォーマルまで幅広いスタイルが存在します。
- ブレザー: ジャケットの中でも、特にテーラードされたデザインのものを指し、しばしばフォーマルな場に適しています。
- スーツ: テーラードジャケットとスラックス（時にはベストも含む）から成るコーディネート一式を言います。主にビジネスやフォーマルな場での着用が一般的です。
それぞれのアイテムは状況に応じて選ぶことが大切で、適切な場面で正しく着用することが、洗練されたスタイルを実現する鍵です。次回の服選びの際には、このガイドを参考にして、シーンに合った最適なアイテムを選んでみてください。
