会議や締切の調整でよく出てくる「前倒し」と「繰り上げ」。
どちらも“予定を早める”という意味で使われますが、
実は 用途・使われる場面・ニュアンス に明確な違いがあります。
ビジネスでは、この2つを正しく使い分けられるかで
相手の理解度や進行管理の精度が大きく変わることも。
今回は「前倒し」と「繰り上げ」の違いを、
例文・具体的な数値・時間感覚を交えて詳しく解説します。
「前倒し」:計画・スケジュール全体を“早く進める”
「前倒し」は、
プロジェクト・業務・計画を予定より早く進める こと。
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スケジュール全体
-
工程
-
準備
など、幅広い場面で使われます。
例1:仕事のスケジュール
「会議資料の作成を3日前倒しで進めます」
→ 本来15日締切 → 12日までに完了
例2:プロジェクト工程
「開発スケジュールを1週間前倒しする」
→ 計画全体を早めるイメージ
例3:マーケティング
「キャンペーン開始日を前倒しで実施」
→ 予定より早くスタートする
▶︎ポイント:
“上げる/下げる”ではなく、“動かす”のが前倒し
「繰り上げ」:順番・時間・枠を“前へ移す”
「繰り上げ」は、
順番・時間・時刻・枠組みを前へ移す ときに使います。
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時刻
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開始時間
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順番
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日程
など、具体的な“枠”が動く感覚です。
例1:会議の時刻
「会議を10分繰り上げます」
→ 10:00開始 → 9:50開始
例2:順番
「発表順を繰り上げます」
→ Aさんの順番が早く来る
例3:締切
「締切を1日繰り上げ」
→ 30日 → 29日
▶︎ポイント:
“前にズラす”のが繰り上げ
2つの違いをまとめると?
| 表現 | 意味 | 動かす対象 | よく使う場面 |
|---|---|---|---|
| 前倒し | 計画や工程を早める | プロジェクト・業務全体 | スケジュール管理 |
| 繰り上げ | 時刻・順番を前に移動 | 会議時間・締切・順番 | タイムテーブル調整 |

数値付きで比べるともっとわかりやすい
「前倒し」の例
本来:10日〜20日で作業
前倒し:8日〜18日で実施
→ 全体の工程を早めている
「繰り上げ」の例
会議:10時00分開始
繰り上げ:9時40分に変更
→ “点”としての時刻を前へ移動
例文でイメージをつかもう
前倒し
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進捗が遅れそうなので、作業を2日前倒しで進めます。
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今回のイベントは、準備を1週間前倒しします。
繰り上げ
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商談を30分繰り上げて開始します。
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次の発表を繰り上げて行います。
ビジネスでの使い分けのコツ
「工程や流れを早めたい」
→ 前倒し
「時刻や順番を前に移したい」
→ 繰り上げ
迷ったら
「前倒し=線」
「繰り上げ=点」
と覚えると便利です。
まとめ
「前倒し」と「繰り上げ」はどちらも“早める”表現ですが、
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前倒し:計画や工程を前に進める(線)
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繰り上げ:時刻や順番を前に移す(点)
という違いがあります。
ビジネスの現場では、
具体的な数値(「10分」「1日」「3日」など)を添えると
誤解がなく、伝わりやすくなります。

