会話の中で自然と使っている「そうですね」と「そうなんですね」。
たった一語の違いですが、
相手に伝わる“立場”や“距離感”が大きく変わります。
たとえば、
「明日、雨らしいよ」
→「そうですね」
これは“私も同じ意見です”という同意の返し。
同じことに対し、
→「そうなんですね」
と言うと、“初めて知った情報を受け入れる”という反応になります。
今回は、この二つの表現が持つ
同意と受け入れの微妙な差を丁寧に掘り下げていきます。
「そうですね」:共通認識を共有する“同意”
「そうですね」は、相手の言葉に賛成するニュアンスの強い表現です。
例:A「今日は寒いですね」
B「そうですね」
ここでは、
「あなたの感じたことは、私も同じように感じています」
という価値観の一致が生まれています。
特徴を整理すると——
-
相手の意見に賛成している
-
すでにその情報を知っている、あるいは理解している
-
共通認識を確認する言い回し
-
会話の“距離を縮める”効果がある
つまり「そうですね」は、
“あなたと私は同じ立場です”と伝える同意表現です。
「そうなんですね」:初めて知った情報への“受け入れ”
「そうなんですね」は、
相手から得た新しい情報を受け止めるときの返答です。
例:A「来月、転勤することになって……」
B「そうなんですね」
この返答からは、
「それは初耳です」「なるほど、そういう状況なんですね」
という“情報を受け取る姿勢”が感じられます。
特徴をまとめると——
-
相手の情報を初めて聞いている
-
賛否ではなく、状況を受け入れている
-
驚き・気遣い・理解を含む
-
少し距離のある丁寧な応答
つまり「そうなんですね」は、
“私は知りませんでしたが、あなたの話を理解します”という受容表現です。
ニュアンスの違いを比べてみましょう
| 表現 | 立場 | 主な意味 | 心の動き | 相手に与える印象 |
|---|---|---|---|---|
| そうですね | 同じ側に立つ | 同意・賛成 | 共有する | 親しみ・共感 |
| そうなんですね | 少し外側から聞く | 受け入れ・理解 | 受容する | 丁寧・距離がある |
同じトピックでも返答が変わります👇
A「この店、最近値上がりしましたよね」
B「そうですね」→“私もそう思ってました”
B「そうなんですね」→“知らなかったけど理解しました”
このように、
相手はあなたが“知っているのか・知らないのか”を瞬時に読み取ります。

会話の距離感で見る二つの違い
「そうですね」=距離が近い
-
意見が一致
-
同じ視点に立つ
-
会話がスムーズに接続される
-
仲の良い人との雑談で多用
「そうなんですね」=少し距離がある
-
情報を受け止める位置にいる
-
相手の話を尊重して聞く姿勢
-
より丁寧で柔らかい
-
上下関係や初対面でも使いやすい
丁寧さで言えば
「そうなんですね」>「そうですね」
という感じです。
微妙に“誤解されやすい”場面
誤解①:相手が同意を求めているのに「そうなんですね」
相手:「この方法が一番良いと思うんですよ」
あなた:「そうなんですね」
→ “賛成していない”と感じられる可能性あり。
→ 情報として受け止めているだけに聞こえる。
誤解②:初耳なのに「そうですね」
相手:「昨日、課長が異動になったんですよ」
あなた:「そうですね」
→ “知ってたの?”と誤解される可能性あり。
「知っている/知らない」を正しく伝えるためにも、
この二つの違いはとても重要です。
まとめ:同意の「そうですね」、受け入れの「そうなんですね」
「そうですね」と「そうなんですね」は
わずかな違いに見えて、会話の立ち位置そのものが変わります。
-
そうですね
→ 賛成、共感、同じ立場からの返答 -
そうなんですね
→ 情報を受け止める、丁寧に理解する返答
会話の方向性をコントロールするときに、
この二つを自然に使い分けられることはとても重要。
まさに“言葉による距離感調整”の代表例だと言えます。

