製品開発やデザインの現場でよく耳にする「プロトタイプ」と「モックアップ」。
どちらも「完成前の試作品」といったイメージがありますが、実は役割や目的に違いがあります。
本記事では、それぞれの定義と使い分けをわかりやすく解説します。
「プロトタイプ」とは?
「プロトタイプ(prototype)」は、日本語で言うと「試作品」や「原型」にあたる言葉です。
見た目だけでなく動作や機能もある程度再現して、実際の使用感をテストするために使われます。
特徴:
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機能の一部または全部を搭載
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実際の操作性・ユーザー体験を検証する目的
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プログラムや回路など、動作確認が前提
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ソフトウェア、ハードウェア問わず用いられる
使われる場面:
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アプリやWebサービスの動作確認
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製品開発における動作テスト
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顧客へのデモンストレーション
例文:
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「このアプリのプロトタイプはすでに操作可能な段階です」
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「プロトタイプを実際に触ってもらい、フィードバックをもらいました」
「モックアップ」とは?
「モックアップ(mockup)」は、見た目やレイアウトの確認を主な目的とした模型や静的な試作物のこと。
動作や機能は備わっていないことが多く、デザインの評価やプレゼン用に使われます。
特徴:
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外観や構成を伝えるための静的モデル
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実際には動かないダミー(見せるための道具)
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視覚的に完成形をイメージしやすい
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素材やサイズは本物と異なる場合もある
使われる場面:
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パッケージデザインやUIレイアウトの確認
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提案用のビジュアル資料
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工業製品の展示やデザインレビュー
例文:
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「このスマホのモックアップは中身が入っていない模型です」
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「モックアップを使ってUIのデザインを説明しました」
違いをわかりやすく整理すると…
比較項目 | プロトタイプ | モックアップ |
---|---|---|
目的 | 動作検証・機能テスト | 見た目・レイアウトの確認 |
動くか? | 動く(機能あり) | 動かない(見た目だけ) |
主な用途 | 実装前の試験・評価 | プレゼン・見た目の確認 |
例 | 試作アプリ、試験的な製品 | ダミー模型、画面イメージ |
どちらを使うべきか迷ったら?
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ユーザー体験や操作感を試したい場合は、→ プロトタイプ
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デザインや外観の印象を伝えたいだけの場合は、→ モックアップ
どちらも「完成前の試作品」であることには変わりませんが、
目的やフェーズによって役割がはっきり分かれています。
まとめ
「プロトタイプ」と「モックアップ」は混同されがちですが、
「動くかどうか」と「何を検証するためのものか」という点で明確に違いがあります。
実際の現場でもこの言葉の違いを理解しておくことで、
コミュニケーションの齟齬を防ぎ、よりスムーズな開発・設計が進められるでしょう。