日常会話で「図々しい人だな」「厚かましい要求だ」などと耳にすることがあります。どちらも相手の言動を否定的に評価する言葉ですが、実はニュアンスに違いがあります。「図々しい」は軽くコミカルに「恥じらいがない様子」を指すのに対し、「厚かましい」はより強い否定的ニュアンスで「常識や遠慮を欠いた態度」を表します。
本記事では、両者の意味・語源・使い方・誤用例・関連語を整理し、使い分けのポイントを詳しく解説します。
「図々しい」の意味と特徴
辞書的意味
「図々しい」とは、人に迷惑をかけても気にしない、恥知らずな態度を指します。
語源
「図」は「計画・思い・心」を意味し、「図々しい」は「自分の都合や考えを押し通す厚顔さ」という意味に発展しました。
特徴
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日常会話でよく使われる
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若干コミカルで軽い非難として用いられることが多い
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自分を卑下する表現にも使える
例文
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何度もおかわりするなんて図々しい。
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「またお願いしちゃって図々しいけど…」
👉 気軽な会話や冗談の中でも使われやすい言葉です。
「厚かましい」の意味と特徴
辞書的意味
「厚かましい」とは、遠慮がなく、常識を欠いた態度を強く非難する言葉です。
語源
「厚い顔(=厚顔)」に由来し、「顔の皮が厚い=恥じない」というイメージから生まれました。
特徴
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強い非難や不快感を表す
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公的・文書的にも用いられる
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「図々しい」よりも重みがあり、許容しがたい態度に使われる
例文
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人の好意を当然のように受け取るなんて厚かましい。
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あんな要求をするなんて、本当に厚かましい人だ。
👉 相手を厳しく批判する場面に適しています。
「図々しい」と「厚かましい」の違いを整理
表現 | 意味 | ニュアンス | 使用場面 |
---|---|---|---|
図々しい | 恥じらいなく自分の都合を押し出す | 軽い・コミカル・柔らかめ | 日常会話、冗談、自虐 |
厚かましい | 遠慮や常識を欠いた厚顔無恥 | 強い非難・重い | 公的批判、不快感の強調 |
誤った使い方に注意
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「厚かましいお願いですが…」
→ 実際には「図々しいお願いですが…」が自然。自己卑下で「厚かましい」を使うと強すぎる印象になる。 -
「図々しい要求」
→ 軽い冗談には使えるが、ビジネスや正式な場では「厚かましい要求」が適切。 -
「厚かましくて面白い」
→ 「厚かましい」は基本的にネガティブなので、「図々しい」の方がユーモラスに響く。
関連語との比較
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厚顔無恥(こうがんむち):恥知らずで厚かましいことを強調した四字熟語。
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無遠慮:遠慮がなく、礼儀を欠くこと。「厚かましい」と近いがややフォーマル。
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お節介:相手に不要な干渉をすること。必ずしも非難だけではなく、好意的な場合もある。
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ちゃっかり:厚かましさを持ちながらも、要領よく得をするニュアンス。
まとめ
「図々しい」と「厚かましい」は、どちらも相手の遠慮のなさや厚顔さを批判する言葉ですが、ニュアンスが異なります。
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図々しい:軽い非難、冗談や自虐にも使える。
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厚かましい:強い非難、常識を欠いた行為を厳しく批判する。
日常の軽い会話なら「図々しい」、ビジネスや公的な場での批判なら「厚かましい」と使い分けるのが自然です。