ビジネス文書や契約書、日常的な会話の中で「承諾」や「同意」という言葉を使うことがあります。どちらも「相手からの提案や依頼を受け入れる」という意味を持っているため、似たような表現と捉えられがちです。
しかし実際には、受け入れる側の立場や相手に対する姿勢に違いがあり、正しく使い分けることで文章の意図がより適切に伝わります。
本記事では、「承諾」と「同意」の意味と使い方の違いを例文とともに詳しく解説します。
「承諾」の意味と使い方
意味
「承諾」は、相手からの申し出や依頼を十分に理解したうえで“受け入れる”ことを意味します。
「承る(うけたまわる)」という謙譲語を含んでおり、承認・受容の意思を丁寧に伝える表現です。
特徴
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目上の立場が下の立場の依頼を受け入れる というニュアンス
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相手の提案に対して丁重に「わかりました」「引き受けます」と伝える表現
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契約や許可に関するフォーマルな場面で使われやすい
例文
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ご依頼の件、喜んで承諾いたします。
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本提案内容につきましては、取締役会にて承諾されました。
「同意」の意味と使い方
意味
「同意」は、相手の意見や判断に対して「その通りだと思う」「賛成する」という意思を示す言葉です。
立場の上下に関係なく、対等な立場で合意を形成する 場面で使われます。
特徴
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自分の意思として「賛成です」と表明するイメージ
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相手と“協調的な判断”をするニュアンス
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契約・規約・ルールなどに双方が賛成するシーンでよく使われる
例文
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今回の計画については、私も同意いたします。
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この利用規約に同意した場合のみ、サービスをご利用いただけます。
使い分けのポイント
項目 | 承諾 | 同意 |
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基本的な意味 | 相手の依頼や提案を受け入れる | 相手の意見や判断に賛成する |
立場 | 相手より上・または管理側 | 相手と対等な立場 |
ニュアンス | 許可・受容を与える | 賛成・合意を示す |
使用場面 | 依頼・申請・契約の“受け入れ” | 契約・規約・意見の“賛同” |
誤用に注意
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「契約内容を承諾しました」→ △
→ 契約は双方の合意に基づいて成立するため、「同意しました」がより適切。 -
「ご提案に同意いたします」→ △
→ 目上からの提案や依頼に対して賛成の意を示す場合は「承諾いたします」が丁寧。
まとめ
「承諾」と「同意」はどちらも“受け入れる”という結果に変わりはありませんが、
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承諾 → 依頼・提案に対し、立場を意識しながら受け入れるとき
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同意 → 相手と対等の立場で賛成・合意するとき
という明確な違いがあります。
ビジネスシーンではこの微妙なニュアンスの使い分けが非常に重要です。場面に応じた適切な表現を使いこなすことで、相手に伝わる印象も大きく変わります。