SNSやチャットを見ていると、
「草」「わろた」「それはガチ」など、ちょっと前には見かけなかった表現がどんどん登場していますよね。
そのなかでも気になるのが、“笑い”を表す言葉の変化。
一昔前までは「ウケる」が主流だったのに、
今では「草」や「わろた」が当たり前のように使われていて、
「若い子の笑い方ってちょっと違う…?」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、
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「ウケる」「草」「わろた」ってどういう意味?
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いつごろからどの世代で使われ始めたの?
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どんなニュアンスの違いがあるの?
など、笑いの言葉の変化と世代ごとの使い方のズレをわかりやすく解説していきます。
「ウケる」は90年代〜2000年代の“鉄板”表現
「ウケる」は、1990年代後半〜2000年代にかけて若者のあいだで大流行した、笑いの感情を表現する言葉です。
当時のバラエティ番組や女子高生の会話などで頻繁に使われていたことから、
「ギャル語」の一種としても認知されていました。
もともとは「ウケがいい」→「ウケる」へ
言葉のルーツをたどると、「ウケる」はお笑い芸人の世界でよく使われていた表現でした。
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「あのネタ、ウケたね」
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「今日はウケが悪かったなあ」
つまり「観客にウケる=好反応が返ってくる」ことを意味しており、そこから転じて、
「相手の言動に対して“笑っちゃう”」という日常的な反応表現へと進化したのです。
若者の間での使われ方(当時の雰囲気)
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「ウケる〜!」(語尾を伸ばすのが定番)
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「マジでウケたんだけど」
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「ウケるしか言えないwww」
といったように、“軽さ”や“ノリの良さ”を伴う笑いのリアクションとして広く使われていました。
特に2000年代の女子高生文化を象徴する表現のひとつでもあり、プリクラ帳やメールの中にも多用されていました。
現在の「ウケる」はやや“レトロ”な響き?
最近の若い世代(Z世代)は、「ウケる」をあえてネタっぽく、または“ちょっと古い言い方”として使うことがあります。
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「ウケる〜ってもう死語じゃね?」
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「あえて“ウケる”って言ってるの、逆にウケるw」
というように、今や「ウケる」は笑いを取るための言葉から、“笑える言葉”へと役割が変化してきているのです。
まとめると、「ウケる」は90年代〜2000年代の若者言葉として定着した表現で、
今でも通じるけれど、時代とともに“懐かしさ”や“ネタ感”が加わってきた笑いの言葉とも言えます。
「草」はネットスラングから広まった新定番
「草(くさ)」という笑いの表現は、ここ10年ほどで**ネットを中心に急速に広まった“新しい笑いの言葉”**です。
見た目は地味ですが、今やSNSやコメント欄、チャットでも使われる超定番のリアクション語となっています。
「草」は「w」から派生した言葉
元をたどると、「草」は**ネット掲示板(主に2ちゃんねる)**で使われていた「w(笑)」が語源です。
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「笑い」→「warai」→「w」
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「wwwww」と連続で使うと、草が生えているように見えることから、
「草=笑い」の意味で使われるようになりました。
その後、「笑いすぎて草」「これは草生える」などのフレーズとして定着し、
やがて「草」単体で使われるようになったのです。
若い世代のあいだで定番化した理由
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軽くて使いやすい(一文字で済む)
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冗談っぽさがある
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ネガティブにならず、ノリよく笑える雰囲気がある
LINEやX(旧Twitter)、TikTokなどで使われるうちに、
Z世代を中心とした若者の「デフォルトの笑い表現」として浸透していきました。
使い方のバリエーション
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「これは草」=めっちゃ笑える
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「草生えた」=思わず笑った
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「草」だけ送る=無言で笑いを伝える
会話というよりリアクション寄りの表現で、チャットやSNSとの相性が非常にいい言葉です。
一部では“安易すぎる”との声も?
便利な反面、「とりあえず草って言っとけばOK」みたいな使われ方も多いため、
人によっては「軽すぎる」「ちょっと雑な印象」と感じることもあります。
とはいえ、いま最もポピュラーな笑い表現であることは間違いありません。
「わろた」は“2ちゃん”文化の名残?
「わろた」は、「笑った(わらった)」を崩した表現で、
ネット掲示板・2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)発祥の古典的ネットスラングのひとつです。
見た目はゆるくてユーモラスですが、実は意外と“古参”のネット民の文化を背負った言葉なんです。
語源は「笑った」→「わらた」→「わろた」
「わろた」はネット上でのタイピングの流れから自然に生まれた崩し言葉です。
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「笑った」をひらがなで書く → 「わらった」
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ネット上のくだけた言い方で「わらた」
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さらに発音が変化して「わろた」
この語感が独特な面白さを持っており、ネタっぽさも加わって、軽妙な“ネタ笑い”として愛用されてきました。
「草」との違いは“ややオタク寄り”な雰囲気
「草」が主流になる以前、「わろた」はネット上での笑い表現として多用されていましたが、
現在ではどちらかというと**「古めかしいネット文化」や「オタク・実況系」な文脈で使われることが多い**です。
たとえば…
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「その発想はわろた」
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「あのタイミングで出てくるのはわろたわ」
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「わろたw」← 草と組み合わせることもある
あえて“昭和のネットスラング”として使う人も
「わろた」を使うことで、“古き良きネット文化”を思い出させたり、
ちょっとニッチでマニアックなニュアンスを出したりする人もいます。
つまり、今の「わろた」は
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ネタっぽく使う
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一周回って“味がある”
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草よりも少しツウな雰囲気がある
といった、“知ってる人向け”の笑い表現になりつつあるのが現状です。
年代別で使い方・印象はこんなに違う!
同じ「面白い」「笑った」という気持ちを表していても、
使う言葉や反応の仕方は、世代ごとに大きく違うものです。
ここでは、「ウケる」「草」「わろた」などの笑い表現が、どの世代でどう使われているのかをざっくり見てみましょう。
10代〜20代前半(Z世代)
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主流表現:草、笑、わろた
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チャットやSNS中心のコミュニケーションに慣れている世代で、短くて軽いリアクションが好まれる
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「草」の単体使用、「笑(←カタカナじゃなくて漢字の一文字)」も多用
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例:「それな草」「わろたガチで」など略語+笑いの融合が自然
20代後半〜30代(ミレニアル世代)
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主流表現:ウケる、笑える、爆笑、草(最近はこっちに移行)
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「ウケる」は10代のころから使っていた層なので今も馴染みあり
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ただし最近では「ウケるはもう死語?」と感じる空気もあり、「草」への移行も進行中
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例:「それは草生える」「ウケるけどちょっと古いか…?」と“自覚的ユーモア”で使うことも
40代〜50代(バブル〜団塊ジュニア世代)
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主流表現:ウケる、笑える、面白い、可笑しい
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SNSよりも対面・電話・メール文化に慣れている世代なので、言葉そのものより、表情やトーンで笑いを伝える傾向
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「ウケる」は比較的新しい表現として受け入れていたが、「草」や「わろた」には戸惑う声も
60代以上(昭和世代)
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主流表現:面白いねぇ/おかしいわね/大笑いしたわ など
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書き言葉ではあまり笑いを表さない世代
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「ウケる」や「草」などのネット用語には「何のこと?」と感じることも多い
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ただしLINEで「笑」や絵文字を使ってリアクションするケースも増加中
このように、笑いの表現は「いつ、どこで、どんなふうに伝えるか」によって、
世代間で“受け取り方”も“使い方”もズレが生じやすいのが特徴です。
まとめ:笑いは時代とともに変化する“感覚の言葉”
「ウケる」「草」「わろた」などの笑いの表現は、
どれも“面白い”という気持ちを伝えるための言葉ですが、
その使い方やニュアンスは、時代や世代によって大きく変化してきました。
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「ウケる」は2000年代の若者言葉として流行した、リアクション型の笑い表現
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「草」はネットスラングから広がった、短くてカジュアルな現代風の笑い表現
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「わろた」は古きネット文化の残り香を感じさせる、ちょっとクセのあるユーモア表現
そして、それぞれの表現は世代ごとに定着していて、
ある世代にとっては自然な言葉でも、別の世代にとっては「ちょっと変」だったり「意味がわからない」ものだったりします。
つまり、笑いの言葉は“気持ちを共有するためのツール”であると同時に、“世代や文化の違い”を映し出す鏡でもあるのです。
これから先も、また新しい「笑いの表現」が生まれては、変わっていくはず。
ときどきその変化に耳を傾けてみると、言葉の面白さをもっと感じられるかもしれません。