会話の中でよく使う「わかる」と「同感」。
どちらも「相手の気持ちや考えに共鳴している」ことを伝える言葉ですが、果たしてこの二つは同じ意味でしょうか?
実は、「わかる」と「同感」には、共感の深さや立ち位置に微妙な違いがあります。
この記事では、その違いを具体的な使用例や感情のニュアンスから掘り下げていきます。
「わかる」とは?
言葉や状況を“理解”して寄り添う表現
「わかる」は、相手の気持ちや意見、状況に対して理解や納得を示す表現です。
ただし、必ずしも「自分もそう思う」とは限らず、「そういう考えもあるね」「つらいのは想像できるよ」といった理解を示す距離感のある共感です。
使用例:
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「失敗して落ち込む気持ち、わかるよ」
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「そんなに忙しかったら、返信できないのもわかる」
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「うんうん、その気持ちわかるなあ」
ニュアンス:
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共感度:★★★☆☆(3)
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感情への寄り添い:あり
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同じ経験がなくてもOK
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客観的な理解や同情を含むこともある
「同感」とは?
“自分もまったく同じ気持ち”を持っていること
「同感」は、相手の意見や感情に対して、自分も同じ立場・感情であることを伝える言葉です。
つまり、「あなたと同じことを思ってるよ」という強い共感と賛同の意思表示です。
使用例:
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「その考え方、同感です!」
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「私もそれ、本当に同感。もっと評価されるべきだよね」
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「わかるじゃ足りない。同感そのもの」
ニュアンス:
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共感度:★★★★★(5)
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感情への寄り添い:深い
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同じ経験や価値観が前提
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賛成・同意の気持ちが強く含まれる
並べてみてわかる違い
項目 | わかる | 同感 |
---|---|---|
基本的な意味 | 理解・納得 | 賛同・同意 |
感情の距離 | 少し距離あり(共感はする) | かなり近い(自分もそう思う) |
主な使い方 | 相手に寄り添うとき | 自分の気持ちを明確に伝えるとき |
立場 | 第三者的な理解もOK | 同じ経験・立場のことが多い |
強さ | 控えめな共感 | 強い共感・完全な同意 |
どう使い分ける?
●相手に共感したいけど、同じ経験はしていないとき
→「わかる」が自然です
→ 相手に寄り添いながらも、無理な同意を避けられます。
例:「仕事が多すぎてパンクしそう」
→「それはつらいね、わかるよ」
(相手を思いやるが、同じ状況でなくても使える)
●自分もまったく同じ思いをしているとき
→「同感」が適切です
→ 相手との距離がグッと縮まります。
例:「あの映画、終盤がグッときたよね」
→「ほんと同感! 泣きそうだった」
(自分の経験や感情と一致している)
まとめ
「わかる」は相手の気持ちに対する理解や共感を、「同感」はそのうえで自分も同じ気持ちであることを示す言葉です。
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「わかる」は寄り添い型の共感。共感はしているけど、少し距離がある。
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「同感」は完全一致型の共感。感情や意見がぴったり重なる感覚。
使い方を間違えると、共感が軽く見えたり、逆に重すぎたりすることも。
相手との関係性や場面に応じて、ちょうどいい表現を選んでみてください。