「ファスナー」「ジッパー」という呼び方は、さらに日本では「チャック」という言い方もよく耳にします。3つとも同じもののようで、実はその背景や使われ方にはちょっとした違いがあります。
この記事では、「ファスナー」「ジッパー」「チャック」という3つの言葉の意味や由来、使い方の違いをわかりやすく解説します。
「どの言い方が正しいの?」「使い分ける必要ってあるの?」と気になっている方に向けて、スッキリ理解できる内容をお届けします。
「ファスナー」の意味と由来
「どの言い方が正しいの?」「使い分ける必要ってあるの?」と気になっている方に向けて、スッキリ理解できる内容をお届けします。
ただし、実際の英語圏では「fastener」といえば、ボタンやホック、マジックテープなども含む広い意味で使われます。つまり、日本で言う「ファスナー」は、より限定的な“スライド式の金具”に当たるわけですが、日本語の中では「ファスナー=ジッパーのような留め具」として定着しています。
日本でこの言葉が普及したのは昭和初期ごろで、輸入製品などとともに徐々に広まっていったと考えられます。衣料品業界では比較的かしこまった表現として「ファスナー」が使われる傾向があります。
「ジッパー」の意味と由来
「ジップ(zip)」という擬音語のような音が語源になっており、ファスナーを素早く閉じるときの“ジーッ”という音から名付けられたといわれています。
この言葉が広まったのは1920年代、アメリカのB.F.グッドリッチ社が、靴の留め具として使用した際に「ジッパー」と商標登録したのがきっかけとされています。その後、広く一般にも浸透し、今ではアメリカ英語で「zipper」は標準的な言い方となっています。
日本でも「ジッパー」はカジュアルな場面で使われやすく、洋服のブランド名や商品名にも登場するなど、馴染み深い言葉となっています。
また、映画やアニメなどの翻訳で「ジッパーを上げる」「ジッパーが開いている」といった言い回しを通じて、ファッションアイテムの一部としての言葉が自然と広まりました。
「チャック」とは何か?実は商品名だった?
この言葉の起源は、1927年に日本で初めてファスナーを製造・販売した吉田工業(現YKK)が、「チャック印」として商標登録したことに始まります。当初は「チャック式開閉具」として販売され、それが略されて「チャック」という呼び名が広がりました。
その後、商標としての「チャック」は一般名称のように使われるようになり、日常会話や衣類の説明などで広く浸透していきました。
現在では、「チャック」はコンビニのおにぎり袋やジッパーバッグ、ビニールパックの開け閉め具などにも使われるなど、用途がやや広がっています。
つまり、「チャック」は日本国内で生まれ、広まった呼び名であり、「ファスナー」や「ジッパー」と比べてより生活に密着したカジュアルな表現といえるでしょう。
比較してわかる!3つの使い分け
呼び方 | 由来 | 使用されやすい場面 | 備考 |
---|---|---|---|
ファスナー | 英語 “fastener” | 衣類・業界用語・商品説明など | 比較的かしこまった表現 |
ジッパー | アメリカ商標 “zipper” | カジュアルな会話・メディアなど | 擬音的な印象が強く親しみやすい |
チャック | 和製英語・日本の商標 | コンビニ袋・ビニール・生活用品 | 日常生活に密着、和語感あり |
たとえば、洋服の通販サイトでは「ファスナー付きジャケット」、日常会話では「ジッパー壊れた」、スーパーでは「チャック付き保存袋」など、使い分けが見られます。
相手や文脈に応じて、自然な表現を選ぶことがポイントです。
実際にはどれが一般的?検索傾向と使われ方
実際にGoogleトレンドやキーワード検索ボリュームを見ると、「ファスナー」がもっとも一般的で安定した検索数を持っています。アパレル業界や商品説明などの場面で使われることが多いため、検索でもよく見かける言葉です。
一方、「ジッパー」はややカジュアルな響きがあるため、ファッションや映画・音楽などポップカルチャー寄りの文脈で使われる傾向があります。
「チャック」は生活雑貨や食品パッケージの文脈で多く使われ、ファッションとは少し異なるカテゴリでの使用頻度が高いのが特徴です。
SNSやブログ、通販サイトの商品名などでもこの傾向は見られ、たとえば「ファスナー付きポーチ」「ジッパーパーカー」「チャック袋」など、文脈によって自然と使い分けられています。
このように、どの言葉が一般的かは一概に言えず、「目的やジャンルによって使い分けられている」というのが実情です。
まとめ
「ファスナー」は英語の“fastener”に由来し、業界や商品説明などややフォーマルな場面でよく使われる言葉です。 「ジッパー」はアメリカ発祥の言葉で、擬音的で親しみやすく、カジュアルな場面に向いています。 「チャック」は日本独自の呼び方で、和製英語として生活雑貨や食品包装などに浸透しています。
3つの呼び方のどれが正解というわけではなく、場面や相手、商品ジャンルなどに応じて自然な使い方を選ぶのがポイントです。
日常でふと使っている言葉にも、実は面白い背景や意味の違いがあるもの。この記事が「ファスナーってなんでそう呼ぶの?」といったちょっとした疑問のヒントになれば幸いです。