「取り消し」と「撤回」。
この2つの言葉がとても似ていると感じるかもしれませんね。
実際、これらは同じような状況で使われがちですが、本当に意味は一緒なのでしょうか?
そこで、今回は「取り消し」と「撤回」という言葉がどのように異なるのか、その核心に迫ってみたいと思います!
驚くことに、「取り消し」と「撤回」の間には、重要な違いが存在しています。
この記事では、それぞれの言葉の意味や適切な使い方を、具体的な例を交えて詳しく説明していきます。
「取り消し」と「撤回」の意味とその根本的な違い!
まずは、「取り消し」と「撤回」の基本的な意味から理解しましょう。
「取り消し」とは、以前に宣言したり記述したりした内容を無効にし、事実上存在しなかったかのように扱う行為です。
一方、「撤回」とは、以前に行った発言や決定を公式に取り下げることを指します。
これらは一見似ていますが、実際には明確な違いがあります。
それでは、この違いをさらに掘り下げていきましょう。
「取り消し」の詳細な意味
「取り消し」とは、ある声明や行動が事実上、存在しなかったかのように扱うことを意味します。
例を挙げて説明しましょう。
例えば、ある企業が新規事業のライセンスを取得したとします。しかし、後になってそのライセンス発行に問題があったことが発覚し、ライセンスが「取り消し」された場合、そのライセンスは最初から効力を持っていなかったとされます。
つまり、ライセンスが発行されたとされる期間も、ライセンスの効果は全く発生していなかったことになります。
「撤回」の意味解説!
「撤回」とは、以前に行った発言や決定を後から公式に取り下げることを指します。
「取り消し」と異なり、「撤回」では行動や発言が一時的には有効だったとみなされ、その後に取り下げる形をとります。つまり、行ったことを「なかったことにはしない」のが「撤回」の特徴です。
先ほどの事業指定の例を再度使って説明しましょう。
もし行政が2020年8月10日からの事業指定を2020年9月15日に「撤回」した場合、8月10日から9月15日までの間の事業指定は有効とされ、その期間の効果は認められます。
このように、「撤回」では、行為が一度有効だったと認められた上で、その後で公式にその効力を無効にするため、その間に発生した結果はそのまま残ることになります。
「取り消し」と「撤回」の違いを詳細に解説!
ここで、「取り消し」と「撤回」の違いを明確に整理しておきましょう。
「取り消し」は、あたかも発言や行動がなかったかのように全てを無効にする行為です。これに対し、「撤回」は、一度認められた発言や行動を後から公式に取り下げるもので、その効力は取り下げるまでの間に限られます。
例えば、政治家が「前言を撤回します」と言う場合、それは「確かに発言はしましたが、考えが変わったため撤回します」という意味です。
一方で、「前言を取り消します」と言う場合は、「その発言は無かったことにします」というより断定的な意味合いを持ちます。
この違いを理解することで、日常やビジネスシーンでの正確なコミュニケーションが可能になります。
「取り消し」と「撤回」の辞書定義
今度は、「取り消し」と「撤回」が辞書にどのように定義されているのかを見てみましょう。
「取り消し」の辞書定義
【取り消し】
・何かを言ったり書いたりした後で、それを無効にして元に戻す行為。「予約の取り消し」
出典:旺文社国語辞典
ここに示された意味は、以前に説明した内容と一致しています。
「撤回」の辞書定義
【撤回】
・一度宣言や措置を行った後、それを公式に取りやめる行為。「命令を撤回する」
出典:旺文社国語辞典
この定義も、私たちが先に見てきた内容に沿っています。
これらの定義を通じて、辞書が提供する言葉の厳密な意味を理解することは、正確な用語の使い方を学ぶのに非常に有効です。それぞれの用語が持つ独特のニュアンスを掴むことが、適切な文脈での使用を可能にします。
「取り消し」と「撤回」の適切な使用例
「取り消し」と「撤回」の適切な使い方を、実際の例文を通じて理解しましょう。
「取り消し」の使い方の例!
・地方議員に対する処分が取り消され、彼女は正式に職に復帰しました。
・レース中のコース外走行が確認され、そのラップタイムは取り消されました。
・200メートル走で出された世界記録が、実際には185メートルしか走っていなかったため、記録は取り消されました。
・ある介護サービス事業者の資格が取り消され、今後5年間はその事業が停止されました。
「撤回」の使い方の例!
・2016年と2017年に発表された論文は、後に撤回されました。
・オンラインショップでの送料無料ポリシーは、変更されずに維持されることになりました。
・ブラジルで発令された48時間の運営停止命令は、12時間後に撤回されました。
・副大臣は自身の答弁が誤解を招いたとして、その内容を撤回し、公に謝罪しました。
これらの例を通じて、各状況に応じて「取り消し」と「撤回」をどのように使い分けるかが理解できるはずです。それぞれの言葉が持つ独自のニュアンスを把握し、適切な文脈で使用することが重要です。
「取り消し」と「撤回」の類似語
「取り消し」と「撤回」に似た意味を持つ言葉をそれぞれ3例ずつ紹介します。
「取り消し」に類似する言葉
- 無効化(むこうか)
- 契約や取り決めなどが、法的に無効であると宣言すること。
- 抹消(まっしょう)
- 記録やデータからある項目を完全に削除し、存在しなかったことにする行為。
- 取消(とりけし)
- 公的な許可や権利などを公式に取り消すこと。
「撤回」に類似する言葉
- 回収(かいしゅう)
- 発言や文書、製品などを公式に取り戻すこと、特に問題があった場合に行う。
- 取り下げ(とりさげ)
- 提案や申し出などを自ら撤去すること。
- 撤去(てっきょ)
- 物理的なものや設備を取り除くこと。広義では、公的な命令や措置を取り消すことにも使われる。
これらの言葉を使用する際には、それぞれの文脈に注意して適切な言葉を選ぶことが重要です。各言葉が持つニュアンスが微妙に異なり、正確な表現を求める際には辞書や専門的なガイダンスを参照することをお勧めします。
まとめ
この記事では、「取り消し」と「撤回」という似ているようで異なる二つの概念について詳しく解説しました。「取り消し」は以前の行動や発言を無効にし、事実上存在しなかったことにする行為を指します。
これに対し、「撤回」は一度行われた発言や行動を公式に取り下げることを意味し、その効力を無効にしますが、行為自体は一時的には有効だったと認められます。
また、それぞれの言葉に類似した用語も紹介し、「取り消し」には「無効化」「抹消」「取消」が、「撤回」には「回収」「取り下げ」「撤去」がそれぞれ近い意味を持つことを見てきました。これらの用語は文脈に応じて使い分けることが重要で、正確な使い方を理解することで、より適切なコミュニケーションが可能となります。
この知識を活用して、日常生活やビジネスシーンでの言葉の使い分けに注意を払い、誤解を避けるための一助としてください。