「増える」の意味と使用例
「増える」という動詞は、「数」や「量」の増加に特化しています。
これは、「増す」と比較しても、ほとんど同様の状況で使うことができます。例えば、参加者の数が増加する場合、「参加希望者が増す」の代わりに「参加希望者が増える」と言っても自然です。
同じく、「量」に関しても、「川の水量が増す」という表現を「川の水量が増える」と言い換えても問題はありません。
しかし、「増える」は「程度」の増加には適用されません。「喜びが増す」は適切ですが、「喜びが増える」とは通常言わないため、感情や感覚の増加を表す場合には「増す」を使用するのが適切です。
「暑さが増す」や「厳しさが増す」などの表現にも、「増える」は不適切です。これらの場合、「程度」の増加を指すためには「増す」を用いるのが正確な使い方とされています。
「増す」と「増える」の違いの整理
「増す」と「増える」には明確な違いがあります。それを簡単に整理してみましょう。
「増す」は「数」「量」「程度」の全ての増加をカバーすることができる表現です。一方で、「増える」は主に「数」や「量」の増加に限られます。
「程度」の増加を示す場合は、「増える」ではなく「増す」を使用するのが適切です。これにより、言葉の正確な使用を保証することができます。
「増す」と「増える」の辞書的な解説
このセクションでは、「増す」と「増える」の辞書における定義を見てみましょう。これにより、これまでの解説との一致点や相違点を把握できます。
①「増す」の辞書での定義
【増す】
- 数、量、程度などが多くなる。例:「水かさが増す」「食欲が増す」。反対語は「減る」。
- 数、量、程度などを意図的に多くする。例:「単価を増す」「生産高を増す」「人数を増す」。反対語は「減らす」。
引用:旺文社国語辞典
この定義からも明らかなように、「増す」は自然な増加や意図的な増加の両方をカバーしています。
②「増える」の辞書での定義
【増える】
- 数や量が多くなる。例:「定員が増える」「貯水量が増える」。反対語は「減る」。
- 繁殖により数が増える。例:「ネズミが増える」。
引用:旺文社国語辞典
この定義によると、「増える」は主に数や量の自然な増加、および生物の繁殖を指しており、その使用範囲が「増す」よりもやや限定されています。特に、「程度」の増加には言及されていません。
これらの辞書の定義を参照して、さらに詳しく各単語の使用状況を理解していきます。
「増す」と「増える」の実践的な使い方
この部分では、「増す」と「増える」を使った具体的な例文を通じて、それぞれの単語の使い方を解説します。
「増す」の使い方例文
・農業コスト、特に運搬費用は将来増す可能性が高い。(数)
・硬い材料でも重量が必ずしも増すわけではない。(量)
・競争が増すにつれて、各メーカーの激しさも増す。(程度)
・会話中にテーブルに手を置くことで信頼感が増すとされるが、本当だろうか?(程度)
「増える」の使い方例文
・夏休みには、車の利用や遠出の回数が増える。(数)
・夕食が遅いと、夜の間に体重が増える可能性がある。(量)
・感染症対策として、家で過ごす時間が増える。(数)
・家族での食事が増えると、子供の野菜摂取量も増えるとの研究結果がある。(量)
これらの例を通じて、「増す」と「増える」の適切な使い方と文脈の理解を深めることができます。
「増す」と「増える」の類似語
「増す」と「増える」は、それぞれ意味が似ている言葉も多く存在します。以下に、それぞれの言葉に対する類似の表現を挙げます。
「増す」の類語
- 強まる – 特に「程度」が強くなる場合に使われます。例:風が強まる。
- 高まる – 感情や状況の程度が高くなることを表します。例:緊張感が高まる。
- 盛んになる – 活動や事象が活発になることを示す表現です。例:議論が盛んになる。
「増える」の類語
- 増加する – 数や量が多くなるという点で「増える」と非常に近い意味です。例:人口が増加する。
- 増大する – 主に量の増加を指すことが多いですが、規模や程度の拡大を示す場合にも使われます。例:費用が増大する。
- ふえる – 「増える」と同様に数や量が多くなることを指します。日常会話では「増える」と同じように使われることが多いです。例:問題がふえる。
これらの言葉を使って、記事の内容をさらに豊かに表現することが可能です。
まとめ:「増す」と「増える」の違いと使い方
この記事では、「増す」と「増える」という二つの表現に焦点を当て、それぞれの意味の違いや使い方を詳細に解説しました。「増す」と「増える」は似ているようで異なる重要なニュアンスがあります。
「増す」と「増える」は使い方において注意が必要です。日常会話やビジネスコミュニケーションにおいて、これらの言葉を適切に使い分けることで、より正確かつ表現豊かなコミュニケーションが可能になります。