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「しつこい」と「ひつこい」の使われ方は地域差がある?どちらが標準語?

言葉

「執念深い」という意味で使う言葉「しつこい」には、もう一つの呼び方「ひつこい」がありますね。

東日本出身の方々にとっては馴染みが薄い「ひつこい」という表現ですが、実は西日本の一部でよく使われる言葉です。

「しつこい」と「ひつこい」、どちらが標準語なのか、それとも地域による違いなのか。今回はこの二つの言葉の使い分けと意味の違いを詳しくご紹介します。

 

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「しつこい」と「ひつこい」の使い方と発音の地域差

まず、「しつこい」と「ひつこい」の主な違いから説明します。

「しつこい」は一般的に「執念深い」という意味で、標準語として知られています。

それに対して、「ひつこい」とは「しつこい」が変わった形で、主に西日本、特に関西地方でよく使われている言葉です。

さて、「しつこい」と「ひつこい」、どちらが元の形なのでしょうか?そして、言葉がどのように変化してきたのか?この二つの言葉の起源や、地域によって異なる「し」と「ひ」の発音の変化について詳しく掘り下げます。

 

「しつこい」とはどういう意味?詳しい解説!

「しつこい」の意味について

まずは、「しつこい」の意味について説明します。

【しつこい】 ① しつこさがあり、執拗である。執念深く、なかなか諦めないこと。

② 味や色が強すぎて、重たい。例えば、「味がしつこい」など。

これらの意味に分けて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

意味①では、「しつこい」とは、粘り強くてあきらめが悪い状態を指します。相手に対して何度も同じことを繰り返すことから、「彼の議論は絶えず、しつこく攻めてくる」という使い方が一例です。

意味②では、食べ物や色の感じが強すぎることを表します。例えば、「この料理は脂っこくてしつこい」といった表現で使われます。

「ひつこい」とはどういう意味?

ここで、「ひつこい」の意味について見ていきましょう。

【ひつこい】 ・「しつこい」の語源から派生した言葉。

実際に、「ひつこい」は「しつこい」と同じ意味を持ちます。言葉が変化し、「ひつこい」として関西地域を中心に使われるようになりました。

「ひつこい」という表現は、関西地方をはじめ、中国地方や九州地方など、西日本の広い範囲で聞かれることがあります。

では、「しつこい」が先にあったのか、「ひつこい」が先にあったのか、その起源についても追ってみたいと思います。

 

「しつこい」と「ひつこい」の語源探究

「しつこい」の語源について

「しつこい」という言葉の起源にはいくつかの説が存在します。

1つ目の説は、「躾」と「濃い」の組み合わせから生まれたとされます。ここでの「躾」(しつけ)は繰り返し指導することを意味し、「濃い」(こい)は何度も重ねることで強くなる様を表します。

2つ目の説は、古語の「執」(しっとりと付着し離れない様子を示す)と「こい」(物事が濃密である様を表す)が結びついたものです。「執」は「執念」や「執拗」など、強くこだわる意味を持つ語として知られ、「こい」は濃厚さを示します。

3つ目の説は、「執拗」がもともと「しつくどい」と読まれていたとするものです。この読みが時代とともに「しつこい」に変わったとされます。実際に明治時代の作家、尾崎紅葉の作品中に「しつくどく」の形で使用されています。

最後の4つ目の説は、「湿」と「濃」が合わさったというもので、江戸時代の書籍にその形で登場しています。「湿濃(しつこう)」と記され、執着や執念を表す用法で使われていたと考えられます。

「ひつこい」の語源について

「ひつこい」の語源を探ると、元々「しつこい」があったと考えるのが普通ですが、もしかするともっと古い経緯があるかもしれません。

一部の説では、元々の言葉が「躾」や「執」であり、それぞれ「ひつけ」や「ひつ」と発音されていた可能性が指摘されています。

言語の歴史において「し」と「ひ」の音の交替は日本全国で見られる現象で、特に東日本と西日本ではこの発音の違いが顕著です。例えば、江戸時代の標準語では「し」の発音が多用されたことから、東日本では「しつこい」が一般的になりました。

一方で、西日本では「し」の音を「ひ」と発音することが多かったため、「ひつこい」という表現が生まれました。さらに、「七」を「しち」と言う東日本と「ひち」と言う西日本の違いや、「布団を敷く」と「布団をひく」といった表現の違いも、この地域間の発音の違いから来ています。

また、「人」を「しと」と発音していた江戸の言葉が、「ひと」として西日本で普及したという説もあります。

このように、「しつこい」と「ひつこい」のどちらが先かを断定することは難しいですが、言葉の流れとしては「ひつこい」も十分古い歴史を持つ可能性があります。

まとめ 「しつこい」と「ひつこい」の語源と地域差

この記事では、「しつこい」と「ひつこい」という二つの表現の意味、使い方、そして語源について掘り下げました。標準語としての「しつこい」は「執念深い」という意味を持ち、その派生形として西日本で特に用いられる「ひつこい」も同様の意味を共有しています。

言語の地域差は、日本の長い歴史と共に発展してきたもので、「し」と「ひ」の音の使われ方がそれを如実に示しています。この音の変化は、東西で異なる発音が定着する背景となっており、それが言葉の使用にも影響を与えています。

「しつこい」が標準語として広く認識される一方で、「ひつこい」という表現もその地域性を反映した豊かな日本語の一部として理解されるべきです。どちらの言葉も、そのニュアンスを理解することで、日本語の多様性と地域ごとの文化の違いをより深く味わうことができるでしょう。

同じ意味でも発音の地域性が現れているんですね。

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