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「元来」と「本来」の違いを解説!意外と知られていない細かな差

言葉

「元来」と「本来」、これらはどちらもよく使われる言葉ですが、意外と混同されがちです。

実は、私も長らくこれらの言葉を同じ意味と捉えていました。例えば、「この小説は元来、売り物ではなかった」と言う場合と「この小説は本来、売り物ではなかった」と言う場合、表現としてはどちらも通じるように思えます。

しかし、注意深く考えてみると、例えば「本来ならば退学だ!」と言うのに対して、「元来ならば退学だ!」とはあまり言わないのです。これは何か違いがあるのではないかと気づかせてくれます。

そのため、本稿ではこれら二つの語の意味の違いと正しい使い方について、具体的な例を交えて詳細に解説していきます。確かに、「元来」と「本来」には微妙ながらも重要な差が存在しています。

 

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「元来」と「本来」の意味の細かな区別

「元来」と「本来」は似ているようで異なる重要な意味合いを持っています。

「元来」は、初めから存在していた状態や性質を指します。つまり、何かが始まった当初からの自然な状態を示します。

一方で、「本来」は、元々の意味に加えて、その事象が理想的にあるべき、または期待される状態を示すことが多いです。これには「当然のこと」というニュアンスが含まれています。

この微妙な違いを持つこれらの言葉を、次でより詳しく掘り下げてみましょう。

「元来」と「本来」の共通点

「元来」と「本来」は、いずれも「もともと」や「初めから」という意味で用いられる点が共通しています。

例として、「この小説は元来、売るつもりで書かれたものではない」という表現があります。同じ文脈で「この小説は本来、売るつもりで書かれたものではない」とも表現でき、両方とも初期の意図や状態を指しています。

このように、どちらの語も事柄の「元の状態」や「初めの意図」を説明する際に有効です。

次に、「本来」が持つ独特な追加の意味について掘り下げてみましょう。

「本来」独自の意味とその使用法

「本来」という言葉には、「当然そうあるべきだ」という意味が含まれています。これは、「元来」とは異なり、理想や期待される状態を示す際に用いられます。

たとえば、「本来ならば退学とするところだが、特別な事情を考慮して停学とする」という表現では、「退学が通常であるべきだ」という期待や規範が反映されています。この文は、実際に退学処分が行われたわけではなく、期待される処置が変更された状況を示しています。

一方、「元来」を同じ文脈で用いると、「元来ならば退学とするところだが、事情を考慮して停学とする」となり、この場合、文は不自然に感じられます。なぜなら、「元来」は過去から続く状態や性質を指すため、規範や期待を表す文脈には適さないからです。

このように、「本来」は理想や当然の状態を表現する際に特有の役割を持ち、文脈によっては「元来」とは一線を画する表現となります。

「元来」と「本来」の違いの整理と理解

「元来」と「本来」は共通して「もともと」や「初めから」という意味を持っていますが、使い方には微妙な差があります。

共通の意味としては、両語ともに事物が始原的に持つ状態や性質を表します。例えば、「この建物は元来/本来、倉庫として建てられた」という文では、どちらの語も自然に使えます。

しかし、「本来」にはさらに「当然そうあるべきで、それが正しい状態である」というニュアンスが加わります。この意味合いは「元来」にはなく、「本来」独自の特徴です。

日常的な使用において、「本来」はより広く使われており、特定の文脈でのみその意味が強調されます。例えば、「本来の目的に立ち返る」という場合は、正しいや必要な状態に戻ることを意味し、「元来の目的に立ち返る」と言うと、違和感が生じることがあります。これは「元来」が過去からの状態を指すのに対し、「本来」が理想や正当性を指し示すからです。

この違いを踏まえて、「元来」と「本来」を使い分けることが重要です。どちらも間違いではないものの、文脈に応じた適切な語の選択が、より正確な表現を可能にします。

 

「元来」と「本来」の辞書による定義

「元来」と「本来」の言葉がどのように辞書で定義されているのかを詳しく見ていきましょう。

「元来」の辞書定義

【元来】

・もともと、初めから存在する状態や性質。本来。「―気が弱い」

引用元:旺文社国語辞典

この定義は、前述した共通の意味「もともと、初めから」と一致しています。

「本来」の辞書定義

【本来】

①初めからそうであること。もともと。元来。「―の調子を取りもどす」

②物事の道理や常識からみて、その状態にあるべきこと。「―、参上すべきところですが」

引用元:旺文社国語辞典

こちらは二つの意味があり、「もともと」の意味に加えて、「物事の道理からそうあるべき」という独特なニュアンスが含まれています。この辞書定義も、先に解説した「本来」の独自の意味と一致しています。

 

「元来」と「本来」の使用例

「元来」と「本来」の適切な使い方を具体的な例文を通じて学びましょう。

「元来」の使用例

  • 元来、蜂蜜は巣の中に保存されることで、鮮度と味、栄養が保たれます。
  • ヨーロッパでは、元来スポーツラジアルタイヤという市場が明確に存在していませんでした。
  • 手袋や靴は元来、身体を保護するための道具でした。
  • 日本は元来、温暖湿潤性気候が多く、微生物が繁殖しやすい環境です。

「元来」はもともとの状態や自然な性質を指し示す際に使用します。

「本来」の使用例

  • 私たちは、シルバーの本来の輝きを保つ新しいジュエリー用銀合金を開発しました。(もともと)
  • 各メンバーが本来の能力を最大限に発揮できるような環境を整えました。(もともと)
  • 本来、社会の模範となり、人々に奉仕すべき年代です。(当たり前)
  • 本来であれば直接伺うべきですが、今回はメールでの連絡をお許しいただきたい。(当たり前)

「本来」は「もともとの状態」に加え、「理想的」または「期待される状態」を表現する場合にも使われます。このように文脈によって「元来」と「本来」の使い分けが必要とされます。

 

まとめ

これで「元来」と「本来」の意味の違いと使い分けについての説明を終えます。

「元来」と「本来」は共に「もともと」や「初めから」という意味を持ちますが、「本来」にはさらに「当然そうあるべきこと」や「それが当たり前であること」といった意味が加わります。

これにより、「元来」は過去から続く自然な状態を指し示すのに対し、「本来」は理想や規範を表す際に使用されることが多いです。この違いを理解することで、日常会話や文書での正確な表現が可能になります。

この記事が、これら二つの言葉の深い理解に役立つことを願っています。

 

違いのキーワードは「元々」か「当然のこと」ですね。

こちらはどうでしょう?

「元祖」と「本家」の違いとは?どちらがより古い?

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