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赤い海と青い海:赤潮と青潮の相違点とプランクトンの影響

名称

赤潮と青潮はどちらも海が異なる色に変化する現象です。

赤潮はメディアでたびたび取り上げられるため、その名前を耳にしたことがある人も多いでしょう。一方、青潮はあまり耳にする機会が少ないかもしれません。

例えば、東京湾での発生頻度を見ると、赤潮は年間数十回程度発生するのに対し、青潮はそれの約10分の1の頻度です。

この記事では、赤潮と青潮の違いに焦点を当て、詳しく説明していきます。

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赤潮と青潮の主な違いについて

赤潮は主に閉鎖的な海域や汽水域で見られる現象で、プランクトンが大量繁殖して海面が着色することを指します。

プランクトンは、水中を浮遊する微生物で、その大きさは顕微鏡で確認できるほど小さいものが多いです。赤潮が発生すると、海水は赤みを帯びることが多いため、この名前が付けられましたが、赤色に限らず、褐色、桃色、黄褐色、乳白色、緑色など様々な色に変わることがあります。

赤潮の発生は、海水中の栄養素の量や温度など、特定の条件が重なることにより、特定のプランクトンが急激に増加することによります。赤潮を引き起こすのは、主に植物プランクトンです。

赤潮を引き起こす代表的なプランクトンにはケラチウムがあります。これは渦鞭毛藻の一種で、日本各地の沿岸に広く分布しています。

赤潮を引き起こす珪藻の代表としてスケレトネマがあり、特に春から秋にかけて発生しやすいです。

また、夜光虫も赤潮を引き起こすプランクトンで、夜になると発光する特徴があります。このため、夜に赤潮が発生すると、海が光る現象が見られることもあります。

赤潮は通常、春から夏にかけて発生することが多いです。

赤潮発生のメカニズム

植物にとって成長には適切な水分、日光、肥料が必要とされます。海に生息する植物プランクトンも基本的には同様の要件が必要です。

植物プランクトンは、海水中に含まれるけい酸塩、りん酸塩、硝酸塩などの栄養塩類を利用して成長します。

赤潮の発生の根本的な原因は、海水の富栄養化、つまり栄養塩類が豊富に存在する状態です。

河川から海に流れ込む水には、家庭の生活排水、工場排水、農業排水などが含まれ、これらには有機物やリン、窒素などの栄養塩類が含まれています。

これらの栄養塩類が海中に溜まると、陸上の植物に肥料が与えられるのと同様に、植物プランクトンの成長を促し、結果として異常繁殖を引き起こします。さらに、これらの植物プランクトンを捕食する動物プランクトンの数も増加します。

気温の上昇は多くの植物プランクトンにとって有利な条件であり、赤潮の発生を促進します。

植物プランクトンは成長すると分裂し、個体数を増やしていきます。これが赤潮の発生に直結します。

赤潮による影響と被害

赤潮が発生すると、海中のプランクトンが呼吸することにより酸素の量が大幅に減少し、海水は酸欠状態に陥ります。

この状態の海水は、魚介類にとって非常に危険であり、多くの場合、これらの生物は酸素不足で死に至ります。

さらに、プランクトンが魚のエラを塞ぐことで窒息死を引き起こすこともあります。また、毒性を持つ種類のプランクトンが存在し、その毒によって魚が死亡することもあります。

これらの現象により、赤潮は水産業に甚大な被害をもたらすことがあります。

青潮発生の背景とメカニズム

青潮は秋に見られる、エメラルドグリーンに海の色が変化する現象です。それは一見するとサンゴ礁の海のようです。

夏の間に繁殖したプランクトンの死骸は海底に蓄積されます。これらのエリアでは、細菌が大量の酸素を消費してこれらを分解し、その結果として酸素が極端に少ない海水の塊が形成されます。

通常、酸素不足の海水の塊は潮流によって撹拌されて分散されるものですが、内湾のような閉じた水域や低地では、この過程が起こりにくく、無酸素の海水がそのまま残ります。

秋になり北風が吹き始めると、特に太平洋岸では陸から海に向かう海水の流れが生じます。この流れにより、海底に溜まっていた無酸素の海水が海面近くや浅瀬に移動し、そこにいる生物は酸素不足で窒息します。

ほとんどの生物は酸素がないと生存できませんが、嫌気性細菌は酸素がなくても生息できる特殊な存在です。これらの細菌の中には、硫酸還元菌と呼ばれる種がおり、無酸素の海水中で硫酸イオンから硫化物イオンや硫化水素を生成します。

生じた硫化物は海面近くの酸素と反応し、硫黄や硫黄酸化物の微粒子が生成されます。これらは海水中に均一に分散し、太陽光を反射して海水を乳青色や乳白色に変色させます。これが青潮の原因です。

青潮が発生する地域では、硫化水素独特の腐った卵のような臭いがすることがあります。

青潮による生態系への影響

青潮が発生すると、その海域の水中には酸素がほとんどないか全く存在しない状態になることがあります。このため、魚介類を含む海洋生物が大量死するほどの深刻な被害が生じることがあります。

赤潮と青潮の根本対策:海の富栄養化への対応

赤潮と青潮の発生の根底には、海の富栄養化があり、これがプランクトンの過剰繁殖を引き起こしています。そのため、これらの現象の効果的な対策は、栄養塩類の海への流出を減少させることにあります。

赤潮と青潮の概要と対策のまとめ

赤潮と青潮は、共に海が着色する現象で、主にプランクトンの活動によって起こります。これらの現象の根本的な原因は、生活排水、工場排水、農業排水などが海に流入し、プランクトンにとっての栄養源である栄養塩類が増加することです。これにより、プランクトンが異常に繁殖し、海面が着色される現象が生じます。

一方で、青潮はプランクトンの死骸が細菌によって分解された結果、無酸素の海水の塊が形成され、嫌気性細菌が硫酸イオンを基に生成した硫化物が太陽光によって着色される現象です。

赤潮も青潮も、海水の富栄養化が主な原因であるため、その解決が最も効果的な対策になります。

 

 

 

 

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