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「とんでもない」と「ありえない」の違いとは? 驚きや否定を表す日本語のニュアンス

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言葉

日本語には驚きや否定を表す言葉が数多くあります。その中でもよく耳にするのが「とんでもない」と「ありえない」です。どちらも「そんなことは信じられない」「絶対に無理だ」という意味で使われますが、実はニュアンスや使い方に違いがあります。

「とんでもない」は否定に加えて謙遜や驚きの意味でも使われる多義的な言葉。「ありえない」は論理的に成立しないことを強調する言葉です。

本記事では両者の意味や使い方を比較し、誤用しやすい点や関連語との違いまで整理していきます。

 

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「とんでもない」の意味と特徴

辞書的意味

  • 思いもよらない(予想外の事態や大きな驚き)

  • もってのほかだ(強い否定)

  • とんでもございませんの形で、謙遜・丁寧な否定

語源

「途でもない(道理にも合わない)」が変化して「とんでもない」となったといわれています。

特徴

  • 用途が幅広く、場面によって意味が変わる

  • 驚き・否定・謙遜といった多義性がある

  • 丁寧表現では「とんでもございません」と用いられる

例文

  • あの人が犯人だなんて、とんでもない

  • お礼だなんて、とんでもございません

  • 山頂まで歩くなんて、私にはとんでもないことだ。

 

「ありえない」の意味と特徴

辞書的意味

  • 可能性がまったく存在しないこと。「有り得ない」が原形。

特徴

  • 論理的・現実的に成立しないことを指す

  • 驚きや不信感を表すが、基本は「可能性ゼロ」の強調

  • 口語では感情的に強く否定するニュアンスが強まっている

例文

  • 彼がそんなことをするなんて、ありえない

  • あの対応は社会人としてありえない

  • ここでミスするなんて、ありえないよ。

 

「とんでもない」と「ありえない」の違いを整理

表現 意味 ニュアンス 使用場面
とんでもない 思いもよらない/もってのほか/謙遜 多義的で柔軟、驚き・否定・丁寧な断り 会話全般、ビジネスでの謙遜
ありえない 可能性がゼロ/成立しない 論理的・強い否定、感情的な否定にも 日常会話、論理的説明、SNSでの感情表現

 

誤った使い方に注意

「とんでもない」と「ありえない」はどちらも強い否定や驚きを表すため、つい置き換えてしまいがちです。しかし使い分けを誤ると、意図しない冷たさや不自然さを相手に与えてしまうことがあります。以下に典型的な誤用例と正しい使い方を整理します。

「お礼なんてありえません」 → 不自然

  • 一見すると「そんなお礼は必要ない」という意味で使えそうですが、「ありえない」には「存在しない・成立しない」という冷たい響きが強く出てしまいます。

  • 感謝や謙遜の場面では「とんでもありません」「とんでもないことでございます」のほうが自然で丁寧。

誤用例

  • ❌ 「お礼なんてありえません
    → 感謝そのものを否定する響きになってしまう。

正用例

  • ⭕ 「お礼なんてとんでもありません

  • ⭕ 「そんな、お気遣いはとんでもないことでございます

「彼が来るなんてとんでもない」 → 文脈に注意

  • 「驚き」を表すなら自然ですが、もし「彼が来る可能性はゼロ」という意味で使うなら「ありえない」が適切です。

  • 「とんでもない」は主観的な驚きや否定、「ありえない」は客観的な可能性否定と覚えると使い分けやすいです。

文脈別例文

  • 驚き(とんでもない)
     → 「彼が来るなんて、とんでもない驚きだ!」

  • 可能性否定(ありえない)
     → 「彼が今から来るなんて、時間的にありえない

「とんでもない話だ」 → 含まれるニュアンスに差

  • 「とんでもない話だ」は「ばかげている」「理不尽だ」という強い否定や批判を意味します。

  • 一方、「ありえない話だ」と言うと「論理的に成立しない」「現実には可能性がゼロ」という冷静な響きに変わります。

比較例

  • 「そんな要求をするなんて、とんでもない話だ!」
     → 相手の非常識さや無礼さを強く批判。

  • 「物理法則を無視するなんて、ありえない話だ
     → 論理的・現実的に成立しないことを説明。

ポイント

  • 感謝や謙遜 → 「とんでもない」

  • 驚き・主観的な否定 → 「とんでもない」

  • 論理的・客観的に可能性ゼロ → 「ありえない」

この違いを意識することで、言葉が持つニュアンスを正しく伝えられ、会話や文章の印象もぐっと自然になります。

関連語との比較

「とんでもない」と「ありえない」は驚きや否定を表す代表的な言葉ですが、似た意味を持つ表現は他にもたくさんあります。細かいニュアンスの違いを理解することで、より的確な言葉選びができるようになります。

「もってのほか」

  • 意味:絶対に許されない、到底受け入れられないこと。

  • ニュアンス:「とんでもない」と非常に近いが、よりフォーマルで硬い表現。文章語として強い非難を表す。

  • 特徴:日常会話よりも、公的・かしこまった場面や書き言葉に適している。

  • 例文:人の命を軽んじる行為はもってのほかだ。

👉 「とんでもない」よりも格式があり、批判や否定を強調する際に使う。

「信じられない」

  • 意味:驚きや疑念を表し、心理的に受け入れがたい気持ち。

  • ニュアンス:現実には可能でも、気持ちとして受け入れがたいときに用いる。感情面に焦点を当てる。

  • 特徴:「とんでもない」が客観的な強い否定を含むのに対し、「信じられない」は自分の内面の驚きやショックを表す。

  • 例文:彼が裏切るなんて、信じられない

👉 感情中心の驚き。「論理的な否定」よりも「心理的な動揺」に近い。

「考えられない」

  • 意味:論理的に成立しない、想像の余地がない。

  • ニュアンス:感情的な驚きよりも、理屈や常識の観点から否定するときに使う。

  • 特徴:説明的で冷静な響きがあるため、ビジネス文書や議論の場面でも使いやすい。

  • 例文:安全を軽視するなんて、企業としては考えられないことだ。

👉 「ありえない」と近いが、やや控えめで冷静な言い回し。

「絶対にない」

  • 意味:感情と論理の両面から、完全に否定する。

  • ニュアンス:もっとも強い否定を断定的に表す。主観的な強い気持ちも含むため、迫力がある。

  • 特徴:口語的でも文章的でも使える万能表現。相手に強い印象を与える。

  • 例文:彼がそんなことをするなんて、絶対にない

👉 「ありえない」が論理的な不可能性を表すのに対し、「絶対にない」は感情も込めて完全否定する表現。

まとめると

  • もってのほか:とんでもない+フォーマル。格式ある強い否定。

  • 信じられない:心理的に受け入れがたい。驚き中心。

  • 考えられない:論理的に成立しない。説明的で冷静。

  • 絶対にない:感情+論理の両方を込めた断定。もっとも強い否定。

👉 同じ「否定」でも、

  • 感情を強調するなら「信じられない」

  • 論理を重視するなら「考えられない」

  • 格式を高めたいなら「もってのほか」

  • 強く断定したいなら「絶対にない」

と使い分けることで、表現が一層豊かになります。

まとめ

「とんでもない」と「ありえない」はどちらも強い否定や驚きを表しますが、使い方に違いがあります。

  • とんでもない:驚き・否定・謙遜と多様に使える柔軟な表現。

  • ありえない:可能性がゼロであることを強調する、論理的かつ感情的な否定。

場面に応じて使い分けることで、相手に伝わる印象が大きく変わります。特にビジネスシーンでは、「ありえない」よりも「とんでもない」を用いた方が柔らかく、適切な場合が多いでしょう。

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