「他人」と「他者」は、どちらも自分以外の人を表す言葉です。
そのため、意味はほとんど同じように見えます。
しかし、実際の使われ方には少し違いがあります。
- 他人:日常的で具体的な人を指すことが多い
- 他者:自分・自己と対比して、客観的・抽象的に表すことが多い
例えば、
- 他人の家に勝手に入ってはいけない。
- 他者の価値観を尊重することが大切だ。
という使い方をすると、それぞれのニュアンスの違いがわかりやすいでしょう。
さらに「他人」には、単に自分以外の人という意味だけでなく、「親族ではない人」「その事柄に関係のない人」という意味もあります。
この記事では、「他人とは何か」「他者とは何か」「他人と他者の違い」を、比較表や例文を交えながらわかりやすく解説します。
「他人」と「他者」の違いを一言でいうと?
「他人」と「他者」は、どちらも基本的には自分以外の人を意味します。
違いを簡単にまとめると、次のようになります。
- 他人:日常生活の中で、具体的な「ほかの人」を表すことが多い
- 他者:自分と対比した「ほかの人」を客観的・抽象的に表すことが多い
日常的・具体的なら「他人」、客観的・抽象的なら「他者」と覚えると使い分けやすくなります。
ただし、意味が完全に別の言葉というわけではありません。
例えば、
- 他人と比べない。
- 他者と比べない。
は、どちらも意味として成立します。
ただし、「他人と比べない」の方が日常的で自然な表現です。
一方、「他者との比較」という表現は、心理学や教育、ビジネスなど、少し客観的な文章で使われやすくなります。
「他人」と「他者」の違いがわかる比較表
| 比較項目 | 他人 | 他者 |
|---|---|---|
| 読み方 | たにん | たしゃ |
| 基本的な意味 | 自分以外の人 | 自分以外の人・もの |
| よく使う場面 | 日常会話・具体的な場面 | 説明文・学術・心理・哲学など |
| ニュアンス | 日常的・具体的 | 客観的・抽象的 |
| 親族ではない人 | ○ | 通常この意味では使わない |
| 関係のない人 | ○ | 通常この意味では使わない |
| 自己との対比 | ○ | ◎ |
| 代表的な表現 | 他人の家・赤の他人・他人任せ | 他者理解・他者との関係・他者の尊重 |
この表からもわかるように、「他人」と「他者」は単純に範囲の広さだけで区別できる言葉ではありません。
大きな違いは、その人をどのような視点で捉えているかにあります。
「他人」は、身近な生活の中で具体的な人を指すことが多く、「他者」は自分と対比した存在として客観的に表すことが多い言葉です。
「他人」とは?意味は3つある
「他人」とは、基本的には自分以外の人を意味します。
読み方は「たにん」です。
ただし、「他人」には大きく分けて3つの意味があります。
1. 自分以外の人
最も基本的な意味です。
自分以外の誰かを広く表します。
- 他人の意見を気にしすぎる必要はない。
- 他人と自分を比べても仕方がない。
- 他人の気持ちを完全に理解するのは難しい。
この意味では、「他者」と近い使い方になります。
2. 親族・身内ではない人
「他人」には、家族や親族ではない人という意味もあります。
この意味は、「他者」にはあまりありません。
- 彼とは血縁関係のない他人です。
- 家族ではなく、まったくの他人です。
- 赤の他人に財産を譲ることもできます。
特に「赤の他人」は、まったく関係のない人を表す決まった表現です。
「赤の他者」とは通常言いません。
3. その事柄に関係のない人
「他人」には、その問題や出来事に直接関係していない人という意味もあります。
- 他人が口を挟む問題ではない。
- 関係のない他人を巻き込まないでください。
- これは当事者同士の問題なので、他人は口出しできません。
この意味では、「第三者」に近い場合があります。
つまり「他人」は、単に「自分以外の人」という意味だけでなく、身内ではない人、関係のない人という意味まで持っている言葉です。
「他者」とは?意味をわかりやすく解説
「他者」とは、自分以外の人や存在を意味する言葉です。
読み方は「たしゃ」です。
特に「自己」と対比して、自分とは異なる存在として捉えるときによく使われます。
- 他者との関係を大切にする。
- 他者の価値観を尊重する。
- 他者との比較によって自分を評価する。
- 他者の立場に立って考える。
これらの表現では、特定の誰かというより、「自分ではない人」全般を客観的に捉えていることがわかります。
「他者」は少し硬い表現
「他者」は、日常会話よりも、次のような場面で使われやすい言葉です。
- 教育
- 心理学
- 社会学
- 哲学
- ビジネス
- 論文や説明文
例えば、日常会話で、
「他者の家に遊びに行った」
と言うと、少し不自然で硬く感じます。
この場合は、
「他人の家に遊びに行った」
の方が自然です。
一方、
「他者の意見を尊重することが大切です」
という文章は、教育やビジネスなどの説明文では自然です。
哲学では「他者」の意味がさらに広がる
哲学では、「他者」は単にほかの人という意味だけでなく、自己とは異なる存在という広い意味で使われることがあります。
そのため、文脈によっては人間だけではなく、自分とは異なる存在や世界を表す概念として使われることもあります。
ただし、日常的な文章では、「自分以外の人」と理解しておけば問題ありません。
「他人」と「他者」の一番大きなニュアンスの違い
「他人」と「他者」の最も大きな違いは、具体的な人として見るか、自己と対比した存在として見るかという点です。
「他人」は具体的な人物をイメージしやすい
- 他人の財布を勝手に触らない。
- 他人の家に無断で入ってはいけない。
- 他人に迷惑をかけないようにする。
ここでは、それぞれ具体的な「誰か」がイメージされています。
「他者」は人間関係を客観的に捉えやすい
- 他者との関係の中で自分を知る。
- 他者の価値観を受け入れる。
- 他者理解を深めることが重要だ。
こちらは、特定の誰かよりも、自分と異なる人一般を客観的に表しています。
「他人」は日常的で具体的、「他者」は客観的で抽象的と考えると、両者の違いがかなりわかりやすくなります。
「他人」と「他者」は言い換えられる?
「他人」と「他者」はどちらも「自分以外の人」という意味を持つため、文脈によっては言い換えることができます。
ただし、いつでも自由に置き換えられるわけではありません。
どちらを使っても意味が通じる例
まず、次のような表現を比べてみましょう。
- 他人と自分を比べない。
- 他者と自分を比べない。
どちらも意味は通じます。
ただし、「他人と自分を比べない」の方が日常的で、「他者と自分を比べない」はやや客観的・説明的な印象になります。
もう一つ見てみましょう。
- 他人の意見を尊重する。
- 他者の意見を尊重する。
こちらも両方使えます。
日常会話なら「他人の意見」、教育やビジネスなどで一般論として述べるなら「他者の意見」が使いやすいでしょう。
「他者」に置き換えると不自然になる例
一方、「他人」に特有の意味や決まった表現では、「他者」に置き換えることができません。
| 自然な表現 | 置き換えた表現 | 判断 |
|---|---|---|
| 赤の他人 | 赤の他者 | × 不自然 |
| 他人任せ | 他者任せ | △ 通常は「他人任せ」 |
| 他人の家 | 他者の家 | △ 意味は通るが硬い |
| 他人事 | 他者事 | × 通常使わない |
特に「赤の他人」「他人任せ」「他人事」などは、ひとまとまりの表現として定着しています。
「他人」を見つけたら、そのまま「他者」に置き換えられるわけではないと覚えておきましょう。
「他人」「他者」「第三者」の違い
「他人」「他者」と一緒に迷いやすいのが「第三者」です。
「第三者」は、ある事柄について直接の当事者ではない人を表します。
| 言葉 | 主な意味 | ポイント | 例 |
|---|---|---|---|
| 他人 | 自分以外の人、身内でない人、関係のない人 | 日常的・具体的 | 他人の家 |
| 他者 | 自分・自己とは異なる人や存在 | 客観的・抽象的 | 他者を尊重する |
| 第三者 | その事柄の当事者ではない人 | 当事者との関係で決まる | 第三者の意見を聞く |
例えば、AさんとBさんが契約をめぐって争っているとします。
その問題に直接関係していないCさんを、「第三者」と呼ぶことができます。
つまり、「第三者」は単純に「自分以外の人」という意味ではなく、ある問題の当事者かどうかがポイントになります。
場面別に見る「他人」と「他者」の使い分け
ここまでの違いを踏まえて、実際の場面ではどちらを使えばよいのか見てみましょう。
日常会話では「他人」が自然
日常生活の中で具体的な人について話す場合は、「他人」が自然です。
- 他人の物を勝手に使ってはいけない。
- 他人の目ばかり気にしていたら疲れてしまう。
- 他人に迷惑をかけないように気をつける。
- 他人の家ではマナーを守ろう。
これらを「他者」にすると、意味は推測できても、日常会話としては硬く感じられるものがあります。
教育・心理・社会について述べるなら「他者」が自然
人間関係や社会について客観的に説明する文章では、「他者」がよく使われます。
- 他者を尊重する姿勢を身につける。
- 他者とのコミュニケーションを通して成長する。
- 他者の立場から物事を見ることも必要だ。
- 他者との違いを受け入れることが大切だ。
この場合の「他者」は、特定の誰かというより、自分とは異なる人一般を指しています。
ビジネスでは文脈によって使い分ける
ビジネス文書では「他者」が使われることもありますが、何でも「他者」にすればよいわけではありません。
例えば、
- 他者の意見を尊重しながら議論する。
- 他者との協働によって新しい価値を生み出す。
といった一般的・抽象的な説明なら「他者」が自然です。
一方、
- 他人のパソコンを無断で使用しない。
- 他人のIDでログインしてはいけない。
のように具体的な人について述べるなら、「他人」の方がわかりやすい場合があります。
「他人」と「他者」を使った例文
ここでは、それぞれの言葉を使った短い例文をまとめます。
「他人」を使った例文
- 他人の意見に流されないようにする。
- 他人と自分を比べすぎない方がいい。
- 他人の物を勝手に使ってはいけない。
- 彼とは親戚ではなく、まったくの他人です。
- 他人に迷惑をかけないよう注意する。
- この問題は他人が簡単に口出しできることではない。
「他者」を使った例文
- 他者の価値観を尊重することが大切だ。
- 他者との交流によって新しい考え方を知った。
- 他者の立場から考えてみる。
- 他者との違いを認めることも必要だ。
- 他者からの評価だけで自分の価値を決める必要はない。
- 他者との協力によって課題を解決した。
「他人」と「他者」はどちらを使えばいい?
「他人」と「他者」のどちらを使うか迷ったときは、文章の場面を考えると判断しやすくなります。
- 日常会話や具体的な人物について話すなら「他人」
- 人間関係や価値観などを客観的に説明するなら「他者」
例えば、
- 他人の物を勝手に使わない。
- 他者の価値観を尊重する。
という使い分けが自然です。
ただし、「他人」と「他者」は意味が重なる場面も多いため、どちらか一方だけが必ず正しいというわけではありません。
会話なら「他人」、説明文なら「他者」を基本にすると、自然に使い分けやすくなります。
「他人」と「他者」に関するQ&A
Q. 「他人」と「他者」は同じ意味ですか?
A. どちらも「自分以外の人」という意味では共通していますが、完全に同じではありません。
「他人」は日常的・具体的な表現で、さらに「親族でない人」「その事柄に関係のない人」という意味もあります。
「他者」は、自分・自己と対比した「ほかの人」を客観的・抽象的に表す場合によく使われます。
Q. 「他者」とは簡単にいうとどういう意味ですか?
A. 簡単にいうと、「自分以外の人」という意味です。
特に、自分とは異なる考え方や立場を持つ人を客観的に表すときに使われます。
Q. 「他人とは」と聞かれたらどう説明すればいいですか?
A. 「他人」は基本的に自分以外の人を意味します。
さらに、「家族や親族ではない人」「その事柄に関係のない人」という意味でも使われます。
Q. 「他人の意見」と「他者の意見」はどちらが正しいですか?
A. どちらも間違いではありません。
「他人の意見」は日常的で、「他者の意見」は一般論として客観的に述べるような印象があります。
Q. 「他人との比較」と「他者との比較」はどう違いますか?
A. 基本的な意味はよく似ています。
「他人との比較」は日常的な表現で、「他者との比較」は心理・教育・研究などの説明で使われやすい、やや硬い表現です。
Q. 家族は「他人」に含まれますか?
A. 「自分以外の人」という広い意味だけを考えれば、自分以外の家族も含めることはできます。
しかし、「他人」には「親族ではない人」という意味もあるため、「家族と他人」のように対比する場合、家族は他人に含まれません。
どの意味で使われているかは、文脈から判断する必要があります。
Q. 「赤の他人」と「赤の他者」はどちらが正しいですか?
A. 一般的な表現は「赤の他人」です。
「赤の他人」は「まったく関係のない人」を意味する慣用的な表現なので、「赤の他者」とは通常言いません。
Q. 「他者」は日常会話でも使いますか?
A. 使うことはできますが、日常会話では「他人」の方が自然なことが多いです。「他者」は教育・心理・ビジネス・論文など、客観的に人を表す文章でよく使われます。
まとめ|「他人」は日常的、「他者」は客観的と覚える
「他人」と「他者」は、どちらも基本的には自分以外の人を意味します。
ただし、実際の使われ方にはニュアンスの違いがあります。
| 言葉 | 覚え方 |
|---|---|
| 他人 | 日常的・具体的な「ほかの人」 |
| 他者 | 自分と対比した客観的・抽象的な「ほかの人」 |
また、「他人」には「親族ではない人」「その事柄に関係のない人」という意味もあります。
そのため、「赤の他人」「他人任せ」「他人事」といった表現を、そのまま「他者」に置き換えることはできません。
日常的・具体的なら「他人」、客観的・抽象的なら「他者」。
この違いを覚えておけば、どちらを使うべきか迷ったときにも判断しやすくなります。

「赤の他人」とは言っても、「赤の他者」とは言いませんね。
普段何気なく使っている言葉でも、比べてみると違いが見えてきます。
では、「双方」と「両方」にはどんな違いがあるのでしょうか?

